これからの予定


 出来上がった料理をもって、我慢の限界が近づきつつあるみんなのもとへと向かう。そしていつものテーブルの前に料理を並べて座った。


「さぁ、冷めないうちに食べよう。」


「スンスン……いい匂い美味しそう!!」


「凄い香ばしい匂いね、お腹減ってきちゃったわ。」


「朝からこんな美味しそうなものを食べれるなんて……幸せだよ。」


 見た目と香りの受けはとてもいいようだ。後は甘めの味がみんなの口に合うかだな。


 俺が手を合わせると、みんなも続いて手を合わせた。


「「「「いただきます!!」」」」


 皮がパリパリの鶏肉に甘辛いタレを絡めて口へと運ぶ。サクサクとした食感とともに溢れる肉汁、そこにタレが絡みご飯が進む。

 この相性は抜群で、朝から少し食べすぎてしまいそうだ。さてさてみんなはどんな感じかな……。


 ふと食べる手を止めてみんなのほうに目を向けた。すると敏感に俺の視線に気が付いたシアが、目を輝かせながら言った。


「お兄さん!!これ甘くて美味しい!!」


 どうやらシアは玉子焼きが気に入ったようだ。甘い味付けは彼女の舌に合ったらしい。


「鶏肉も皮はサクサクしてるのに、お肉は柔らかくて美味しいわ~。」


「この下のタレに絡めて食べるとご飯が止まらないよ!!」


 ドーナとランは鶏肉を食べながらご飯をかきこんでいる。特にランは、一人特別どんぶり飯なので凄い食いっぷりだ。

 そんな姿を眺めていると、二人はご飯が空になった器を差し出してきた。


「ヒイラギ?もう少しご飯が欲しいのだけれど、いいかしら?」


「アタイもお代わりいいかい?」


「あいよ。」


 二人の器にご飯をよそっていく。ご飯を多めに炊いておいて正解だった。


「ほい、このぐらいでいいか?」


「バッチリよ。」


「ありがとうヒイラギ。」


 そして二人はまたご飯をかき込み始めた。一方シアは、料理を完食していたが……玉子焼きがあった皿を名残惜しそうに見ていた。


「シア?玉子焼きもう少し食べたいのか?」


「えっ!?あ、だ、大丈夫っ!!」


 絶対ウソだ。俺の玉子焼きを箸で持ち上げてゆっくりとシアの目の前に持っていく。そして右、左と動かすと視線が自然と玉子焼きを追いかけ、尻尾も同じ動きをしていた。


「ほれ、食べていいぞ?遠慮するな。」


「い、いいの?」


「大丈夫だ。また作ればいいさ。」


 玉子焼きなんて10分かからずに作れるからな。食べたくなったらまた作ればいい。


「ありがとう!!お兄さん!!」


 満面の笑みで俺の分の卵焼きも食べ始める。


 シアは子供なのに少々遠慮がちな性格だからな。恐らく周りがそうさせたのだろうが……もう少し子供らしくなって欲しいものだ。


 そしてみんなしっかりと1日のエネルギー源である朝食をお腹に収めた。


「「「「ごちそうさまでした。」」」」


「ふぁ~、美味しかったぁ~。」


「朝からこんなに美味しい物が食べられるなんて最高ね!!」


「ホントだよねぇ。」


 みんなお腹いっぱいになったところで、俺は今日のこれからの予定について話し合うべく話題を切り出した。


「みんな今日の予定なんだが……今日はギルドで魔物の討伐依頼を受けようと思うんだ。」


「討伐依頼かい?」


「あぁ、実はそろそろ別の街に行きたいと思ってな。そのための資金稼ぎをしたいんだ。」


 ある程度お金はあるが、みんなで生活するにはまだまだ足りない。貯蓄もかねて、報酬金の良い魔物の討伐依頼に挑みたいのだ。


「資金稼ぎなら、アタイ…いいのを知ってるよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る