眠れない夜
ひとたび食べ始めると、みんな食べる手が止まらなくなってしまったようで、すごい勢いで食べている。
「えへへぇ~、美味しい!!」
「この魚はこのお米って言うのにとっても合うわね。美味しいわ!!」
「食べる手が止まんないよ!!」
ドーナとランがきっちり調味料の分量を量ってくれたこともあって、想定通りのちょうどいい味付けになっている。また、シアが炊いてくれたご飯もふっくらと炊けていて、とても美味しい。
そしてみんなでワイワイ騒ぎながら夕食を楽しんだ。多人数で食べるご飯というのは、とても楽しいもので、時間を忘れて楽しんでしまった。
「「「「ごちそうさまでした!!」」」」
夕食を食べ終え、洗い物も終えたので残るは寝るのみとなった。今日はいろいろあってだいぶ疲れたせいか、普段寝る時間には早い時間にもかかわらず、もう眠気が襲ってきていた。
「ふぁ……そろそろ寝ようかな。みんなは布団で寝ていいからな?俺はソファーで寝る……。」
そして一人ソファーで寝ようとすると、シアに腕を掴まれてしまう。
「お兄さんダメ!!」
「そうよ、みんなで一緒に寝ましょ?」
「絶対に逃がさないから……。」
あぁ、やっぱり逃げられない。
ズルズルと三人に引きずられ、いつの間にか敷かれていた布団の真ん中にごろんと寝かされる。
「ほら、もうにげられないわよ~♪」
あっという間にランとドーナに体を挟まれてしまった。二人の吐息を間近に感じて、ドキドキしているとシアが俺の胸の上にごろんと寝転がる。
「お兄さん、ぎゅっとしてほしいの。」
「あぁ、わかった。」
胸の上で寝転んでいるシアを両手で抱きしめると、嫉妬したのかすでに耳に息がかかるほど近かったのにもかかわらず、二人がさらに体を密着させてくる。
「シ、シアばっかりに気を取られてるんじゃないよ?」
「そうよ!!ワタシの事もちゃんと意識してよ~。」
結局、俺がまともな眠りにつけたのはみんなが寝静まった後だった……。
◇
「……さん、お兄さん!!」
「ん、んん?シアか。」
シアに呼び掛けられて目を覚ました。シアよりも遅く眼が覚めるとは……どうやら結構長い時間寝てしまっていたらしい。
「ヒイラギお兄さん、おはよう!!」
「あぁ、おはよう。」
昨日に続き元気いっぱいなシアと朝の挨拶を交わしていると、すでに起きていたドーナ達もこちらへやってきた。
「あら、ヒイラギおはよう。ぐっすり寝てたわね?」
「あぁ、おはようだいぶ寝てしまった。」
普段ならもっと早くに目が覚めるはずなんだが、どうやら昨日は勝手が違ったらしい。
「ヒイラギお兄さん、シアおなかすいた~。」
「あぁ、わかった。少し待っててくれ。」
さぁ、今日も張り切っていくとするか。ぼさぼさの寝癖を直し、コックコートに着替えてみんなの朝食を作るため厨房へと向かうのだった。
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