シア 初めてのお米研ぎ


 向こうでドーナ達も計量を始めてくれたようなので、こちらもさっそく始めよう。


「それじゃあシア、一回やって見せるからよく見ててな?」


「うんっ!!」


 一度米にたっぷりの水を注ぎ、その水をすぐに捨て新しい水を注ぐ。そして今度は米同士をこすり合わせるように洗う。最後濁った水を捨てればお米研ぎは完了だ。

 今使っている米は日本で精米されたものだから、何度も洗いなおす必要はないのだ。


「こんな感じだができそうか?」


「うんっ!!大丈夫、覚えたよ!!」


 そしてシアは俺がやった通り……いや、完璧に俺の動きをコピーしたかのような動きで、それをやってのけたのだ。


「これでいいっ?」


「あぁ、完璧だ。じゃああとはこの線のところまで水を注いで、あそこの機械にはめ込むんだ。それで赤いボタンを押して来てくれないか?」


「うん!!」


 シアは言われた通りに水を注ぎ、炊飯器にセットしてこちらに戻ってきた。


「ありがとうシア。これであとはご飯が炊き上がるのを待つだけだぞ。」


 しっかりと役目を終えたシアの頭を撫でながら、ドーナ達のほうへと目を向ける。二人はまだ調味料を計っている最中だった。


 どうやらどちらがドンピシャで計れるか勝負しているらしい。


「それじゃあカグロを切るか。シアは休んでていいからな?」


「お兄さんの近くにいてもいい?」


「いいけど、危ないから近づきすぎないようにな?」


「うんっ!!」


 シアが少し離れて見物を始めたのを確認し、バッグからカグロの柵を取り出した。


「ランが結構食べるから、少し多めに切ろう。」


 柳刃包丁でカグロを切りつけ、並べていると不意に横からきらきらとした視線を感じたので、少し目を向けた。

 すると、シアがキラキラした目で物欲しそうにカグロの刺身を見ていた。


「あ、少し薄くなったな……シア、食べるか?」


 カグロの刺身を誤って薄く切ってしまった。


「えっ!?いいの?」


「あぁ、ほらあ~ん。」


 それに少し醤油をつけて差し出した。


「いただきまーす!!あむっ……んー、美味しい!!」


「後は夕飯のときにみんなで食べような?」


「うん!!」


 いい子だ。さて、こっちは切り終わったが……あっちは決着が着いただろうか?


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