人間の犯した過ち
人間と他の種族が対立している原因を、イリスが語り始める。
「かつて人間は他の種族の奴隷化を計画しました。その結果、今までともに暮らしていた三種族が対立してしまったのです。」
イリスから放たれた衝撃の言葉に、本気で耳を疑いたくなった。そんなことをしたら対立関係になるのも当たり前だ。
「なぜ、そんなことが?」
「王が変われば国も人も変わってしまいます。それが一番の原因でしょう。」
「なるほどな。」
イリス曰くどうやら国王が変わったことによって、今までの体制がすべて崩れ去ったらしい。
まったく、これに関しては完全に人選ミスだろ。なんでそんな危ない思想を持った輩を王に仕立てたんだか……。
「そういうことをされると、人間は皆そういうことをするやつらって思われるからな。正直かなり迷惑な話だ。」
「ええ、事実獣人族やエルフはそう思ってるようですね。」
エルフ達や獣人族の食文化とか気になるところではあるが、この話を聞くとコンタクトをとるのは難しそうだ。
「なんとか関係の修復ができればいいんだが……。」
「私も応援しますよ。」
にっこりと微笑みながらイリスは言う。それが簡単ではないことは彼女も重々承知のはずだ。
さてひとまず聞きたいことも聞けたし、そろそろ現世に戻るとするか。
「それじゃ、そろそろ戻るよ。貴重な話をありがとう。」
「またわからないことがあれば気軽に訪ねてきてくださいね?」
最後にイリスは慈愛に満ちた笑みを浮かべてそう言った。
直後一瞬視界が暗転したかと思うと、俺は祈りをささげていた教会に戻ってきていた。
「さてと、それじゃギルドに行こうか。」
イリスに聞きたいことを聞き終えたので、教会を出てギルドへと向かう。ギルドに着くとミースが俺の対応をしてくれた。
「おはようございます!!ヒイラギさん、今日はどんなご用ですか?」
「あぁ、また依頼書を見せてほしいんだが。」
「依頼書ですね?かしこまりました~。」
ミースは昨日と同じく俺が受けられる依頼を持ってきてくれた。その中に、今日の目的だった依頼を見つける。
「このオーリオの実の依頼を受けたいんだが、森って入っても大丈夫か?」
「はい!!ドーナさんが自ら現地調査に赴いて、問題無しと判断したので大丈夫ですよ~。」
ふむ、裏でドーナが動いてくれたらしい。後でお礼をしに行かないといけないな。
「そうか、じゃあその依頼を受けよう。」
「はい!!ではここにサインをお願いしますっ。」
ミースに言われた通り依頼書にサインを書き、依頼の受注が完了する。
「こちらの依頼の期限は明後日までです。お気をつけて行ってらっしゃいませっ!!」
まぶしい笑顔のミースに見送られ俺はギルドを後にした。
「さてさて、オーリオの実はどこに生えているんだ?」
森へ向かう途中で昨日買った植物の図鑑を開いた。そしてパラパラとページをめくり、オーリオの実を探す。
「えっと?見た目はなんかオリーブに似てるな。生息地は森の奥深くか、なら少し森の中を探索しながら取りに行けそうだな。」
図鑑をバッグにしまった俺は、オーリオの実を採取するために一人森の奥へと向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます