転生したら属性魔法を使え無いので、金属使役魔法を極めて生き抜く予定です。
鬼戸アキラ
第1話 どうやら転生した様です。
(ん?何処なのココ…??)
男は光に包まれて浮いていた。真っ白な場所である。何処なのかは全く分からない。
(確か、珍しく残業しぎまた帰り道に猫の子供が…助けた様な…あれ?)
男は猫の子供を助けた。殆ど反射的に身を投げだして助けたのだ。暴走したトラックから…。
(あ〜オレ死んだな。やべぇ!マジで死んでるわコレ!!)
『気が付いたか?人間よ…記憶は有るかな?』
(記憶…あ、有るね…確かに有るわ。つうか誰だ?)
『私は世界の【水やり】をしておる者』
(み、水やり???)
『世界の調整の為の【水やり】じゃわい』
(調整…神さまみたいな奴?)
『神はもっと上位の存在じゃ。儂らは世界を育てるだけじゃ』
(…さっぱり分かんないんで帰っていいですか?)
『戯け、帰る場所はもう無かろうに』
(あ〜やっぱ死んだのか…んじゃあ如何すりゃ良いの??)
『うむ、それじゃ。お前には二つの選択肢が有る。一つはこのまま浄化される事じゃ』
(…浄化されるならとっくにやってんじゃね?)
『ホッホッホ、察しが良いな。二つ目は転生して別の世界で生きる事じゃ』
(…選択肢は有って無い様なもんじゃねーか?)
『流石に儂が選んだ者よ。転生で決まりじゃな?』
(はぁ…何でこんな事に…)
『むう…実は歪みによってこうなってしもうた』
(歪み??)
『他の世界でな、世界を大きく修正をせねばならなくなってのう…その修正は上手く行ったのだが、その余波で其方の世界に歪みが出てしもうた」
(あ〜その余波に巻き込まれて死んじゃったのね)
『流石じゃのう、話が早い。お前の居た世界の歪みはお前のお陰で修正出来たが…お前の居場所が歪みで消えたと言う訳じゃ』
(それで転生ってか…で、どんな世界だ?)
『お前の居た世界とはかなり違う。魔法が世界の中心の世界じゃ』
(良くあるファンタジー世界って奴か…)
『その様なモノかのう…正直、其処には転生させたくなかったのだが仕方無い…余分がそこしか無いでのう』
(じゃあ、オレも魔法が使える様になるのか??)
『それがのう…難しいのじゃ。お前は魔法の無い物質世界から来ておるからのう…そもそも普通の属性魔法を持てないし使えないのじゃ』
(おいおい…魔法使えないんじゃこの魔法の世界で生きていけないだろが!!罰ゲームかよ!!)
『落ち着け…色々と試した結果、一つだけ使える魔法を創り出したぞい。一種の使役魔法じゃ』
(使役魔法??何か呼び出すのか?それともモンスターを操るのか??)
『いいや、生命のある者は使役出来ぬ。お前が使役出来るのは金属じゃよ』
(は?何言ってんの?)
『お前の魔法は【金属使役魔法】じゃ』
(…せんせー、何言ってるか分かりませーん)
『…物質世界から来たお前にはどの属性魔法も使えない。色々と可能性を探ったところ金属が一番相性が良かったのじゃよ。金属に囲まれた生活をしていたお前には此方の金属も理解出来る。だからそれを使役する魔法を新たに創造したのじゃ』
(うーん…そもそも何で俺は魔法属性が使え無いのですかね?それが不思議でならない)
『それはな、お前がこの世界の魔法による火や水や風などを理解出来ないからじゃ。お前は元の世界の物理の火は理解出来るが、此方の世界の魔法の火を理解出来ん。それは魔法で火を出したりドラゴンやサラマンダーが火を吐くのを見た事が無いからじゃよ。元から無いものはイメージ出来ない。だから無理なのじゃよ』
(ほう…同じに見えて火が違うと言う事か。なるほど…じゃあ金属は同じって事か?)
『向こうに無い物も有るが、殆どは向こうと同じ物じゃな。つまりは在る物としてイメージ出来る。だから使役もし易いのじゃ』
(じゃあ向こうに無い金属は使役出来ないのか?)
『それは大丈夫じゃ。向こうに無い金属は新しい金属として理解出来る様に調整してあるからのう』
(ようやく理解したよ。つまりは【金属使役魔法】だけが使えるんだな。それはどうやって使うんだ?)
『向こうで徐々に覚えれば良かろう。先ずは金属の《声》を聞く事じゃ。あと、お前の努力次第で魔力量は徐々にだが無限に増えるから頑張るのじゃぞ』
(えっ?最初からバリバリ使えるとか魔力量半端ねえ!!チートかよ!!とかは無理なのかよ!!)
『無理』
(じゃあ魔力量の増やし方教えてくれよ!)
『魔法を使いまくれば増える』
(…何かテキトーだな…)
『もう良いか?そろそろ向こうに【水やり】するからついでにお前も向こうに落とすぞい』
(えっ、もう??って、ついでかよ!!まだ心の準備が…)
『ソーレ!!向こうの世界でやりたい事をせい!!』
(ちょ、マジか!!うわああああ!!!)
こうしてこの世界で死んだ男が転生してファンタジーの世界で生きる事となる。果たしてこの【水やり】は吉と出るのか凶と出るのか…。
『……』
その男を放り出した後でふと気付いた。
『しもうた!転生先の情報を教えるのを忘れたぞい!』
『まあ、良いか…簡単な人生など無いのだからのう』
その男の転生先は代々優秀な魔術師の家系で属性魔法の使えない男が、とんでも無い差別やトラブルに巻き込まれる事を男はまだ知らない…
そしてそんな逆境から自分の力を信じ精進して行く事で自分の人生を切り開いて行き、この世界で大きな歴史の流れを生む存在にまでなる事もまだ理解していないのである。
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