番外編SS 晃太&柚~高校時代~

 ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。

 ちなみに俺は未だにベットの中で惰眠を貪り中。さっき時計見たけど、まただ!まだいける! そんなことを思いながら布団の中で、今やってるスマホゲームのログインボーナスをゲットしていた時だ。


 コンコンココココココンッ!


 と俺の部屋の扉をノックする音がした。

 ……いや、独特すぎるだろ。キツツキかよ。


「晃太? 起きてる?」

「起きたくない」

「なんでよっ!?」


 何故かキレながら柚が部屋に入ってきた。まぁ、鍵付いてないからしょうがない。

 ついでに今は夏。パジャマなんぞ着て寝る訳もなく、俺はパンツ一枚でベッドの上に君臨していた。


「よっす!」

「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」


 柚は叫びながら部屋から出ていってしまった。


「ふっ、勝ったな」

「いや、『勝ったな』じゃないでしょう? いくら幼なじみとは言っても女の子なんだから少しくらい気を使いなさいよ馬鹿息子。せっかく幼なじみが起こしに来たわよシチュエーションを作ってあげたのに」

「余計なお世話だよ。母さん」


 入口に視線を向けるとそこには母さんがいた。

 ほんとに余計なお世話だ。だって俺達はもう……。


「ほらとりあえず早く着替えて降りてきなさい。柚ちゃん待ってるわよ」

「あーいよ」


 そう言って母さんは階段を降りていった。さて、着替えますか。



 ◇◇◇



 下に降りると、リビングで母さんからコーヒーを貰って飲んでる柚の姿があった。その近くでは彩那が顔を貪られるヒーローの人形で遊んでいる。超可愛い。


「彩那~おはよぉ~♪」

「にぃにおぁよ!」


 はい天使! 未だにちょっと舌っ足らずなのがさらにっ!


「むすっ」

「なんてこった! 俺、とうとう効果音まで聞こえるようになった!」

「ばっかじゃないの? ほら、早く支度しなさいよ。待ってるんだから。それにズボンのポケットはみ出てるじゃない。まったく……」

「きゃあえっちー」


 と、いつもの調子でからかったのだが……


「なっ! え、えっちじゃないから! 違うからっ! アレは晃太がシテって言うから……だから……」

「いや、ただボケただけなんだが? 朝っぱらから何言ってんだお前は」


 どんだけテンパってんだよ。

 あ、ほら、柚が真っ赤になってワタワタしてるから余計なのが来たしよ……。


「あーらあらあらあら? まるで恋人みたいじゃない?」


 はいうるさい。もう言ってしまうか?


「あー俺達こないだから「違いますからっ!」んを?」


 こいつ被せてきやがったな?


「有華さんっ! 違いますからね!? 私が晃太と付き合うわけないじゃないですか!」

「だってよ」

「あら、残念ねぇ~。あ、晃太? 朝ご飯テーブルにあるから早く食べなさいよ?」


 母さんはそれだけ言うと洗濯籠を持って庭に出て行った。

 それを見てから俺は柚を見る。と、スっと目を逸らした。逸らした方に回るとさらに逸らす。やれやれだ……。


 とりあえず柚に彩那を見てもらってるうちに飯食って歯磨き。寝癖を適当に直して準備完了でえる。よし、声かけるか。


「ほら行くぞ。なにしてんだ?」

「んなっ! それはこっちのセリフなんですけどっ!」


 そんな事を言う柚は放っておいて、俺は彩那に行ってきますのちゅうをほっぺにしてもらって玄関に立つ。柚が「あっ……」って言ってたけど、いやいやいや、妹だからね? そこ嫉妬するの違くない?

 けどまぁ……母さんの目が届かないところで不意打ちに頬にキスをしたら真っ赤になって殴って来たけど。どうしろってんだ。

 つうかまじでそろそろ家出ないとマズイな。

 てなわけで、


「それじゃ……」

「「いってきまーす」」


 俺と柚は揃って家を出た。


 ◇◇◇


 さて、柚には聞かなきゃならん事がある。


「なぁ柚」

「え、なぁに?」


 なんだその甘ったるい返事は。


「なぁに? じゃなくてさ、なんでさっき母さんに俺たちが付き合ってる事言おうとした時に止めて否定したんだ?」

「え、無理無理無理!! 知られたら恥ずかしくて死んじゃう!」

「ってことはお前の親は?」

「……まだ言ってない。ほら! だってほら! まだ付き合ってそんなに経ってないじゃない? だから心の準備と言うものが……」


 なるほどね。俺にはよくわからんけど。まぁ、柚がそう言ってるならその内でいいか。


「へいへい。まぁそこら辺は柚に任せるよ」

「え、あ、うん……」


 俺は結論が見えない話題を打ち切って歩き出す。


「ね、ねぇ晃太!」

「ん~?」

「手、繋いでもいい?」


 まだ家の近くなんだが……。言ってる事とやってる事がチグハグだなぁ。いいけどさ。


「ほら」


 俺は手を出す。


「やった! へへっ♪ 晃太好き~!」


 手を繋ぐだけのはずが、柚は腕に抱きついて来た。


「俺もだよ」

「えへへ」

「ただ……」

「え、ただ……なに?」

「こうやってしがみついても胸の感触がんごふっ!」

「胸が……なんだって?」


 こ、こいつ殴ってきやがった……。


「あ、あ、あの時はあんなにくっついて離れなかったくせに……晃太のばかぁぁぁぁ!!」

「ちょっ! 声でけえって!」


 ◇◇◇


 こんな感じで幼なじみから恋人に変わった俺達だけど、この先どうなるんだか……。





 ──と、いうわけで番外編でした!

 楽しんで頂けたでしょうか?

 そしてこちら、新作のラブコメになります!

 タイトルは、


 ~陰キャ扱いされている俺の友達が眼鏡外して前髪上げた~

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054921466319/episodes/1177354054934467057


 こちらも宜しければ読んで見てください!

 ちなみに、よくある陰キャ系主人公じゃありませんよ?

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