第3話 転開

黒き波動ショックウェーブ


「!?」




突如響いた声に一瞬怯んだヌルの身体は吹き飛ばされた。


それでも、刀を地面に突き刺しすぐに体勢を立て直し、元凶を見て驚いたように言う。




「ほーう、まさか貴女でしたか」




その視線の先には白髪の女性がいた




「騒がしいので様子を見に来ましたが、どういうことですか蒲原さん?」


「ちょっとしくじってね。貴女のおかげで助かったよ、ありがとう


「どういたしまして。


それで、彼が敵ですか?」




レイラはヌルへ指を指した。




「ああ、だけどあいつの一撃で俺の剣が折れた。


相当強いと思うから協力するよ!」


「了解です。全力で相手します」






「話し合っている所悪いですが、私にもう戦う気はありませんよ。『勇者』だけでなく、『』まで相手にするのは荷が重いですからね」




そう言うとヌルは懐から球状の物体を取り出し、高々と掲げる。


すると強い光が発生し、目を覆った二人が気づいた時にはヌルの姿はなかった。


周囲にヌルの声が響く。




「また会うこともあるでしょう、次会う時には必ず始末させてもらいますよ」




その直後ヌルの気配は消え去った。


それを確認すると友輝は安堵する。




「ふー、なんとかなったか。助けてくれなきゃやられてたよ。


‥あ!倒れているかたの治療をすべきだね」


「そうですね。私が治療の魔法を使いますが、この人たちは血を失っているようなので傷を塞ぐ回復魔法の効果は薄いかも知れないです。」


「それでもやらないよりはマシだから、頼んでいいかな」


「分かりました。白き波動キュアウーン




倒れる人々の傷は治ったが失われた血は戻らなかったようで、青白い顔のままだった。


遠くからサイレンの音が聞こえてきた。


もうすぐ警察が到着するようだ。




「さて、剣は片付けたし、何も言われることはないと思うからお巡りさん待とうか」


「了解です。」
























――――帝蜀市 某所地下室――――


黒い装束を着た男が階段を降りている。その顔には目元を覆う仮面がつけられている。


男は突き当たりにある扉を開けると中にいる者に声をかけた。




「計画は順調みたいだな」


「ええ、『勇者』の行動はおおよそ想定内です。


』もうまく動いたようですし、あなたもうまく潜入できたようですね。

?」




そう答えた男は狐の仮面をつけていた。

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