Reve_ marcher

游黎

『ようこそ、ここは夢を歩く場所さ。』

ここは東の国の雪国、秋津の海北州かいほくしゅう幽笠市ゆうがさし

冬冠とうかん大学。


私は昨日からここの生徒になった南 芽衣みなみ めいです。


早速ですが私いま。


───へんな先輩にサークルへと誘われています。


入学初日に私に声をかけてきた先輩。

そんな先輩は二年生のノエル・レヴィオンさん、フランセーズ生まれの外人さんです、

見た目も金髪碧眼と、如何にも!と言った感じ。


服装は黒いセーラーワンピースに何故か白衣。

白衣、と言う部分が特に変わった人なんだなーーと言うのがひしひしと、伝えてくるのです。


その実変わった人で、私が今誘われているサークル、その名も

『ドリームウォーカー』

ステイツ語で夢を歩く、と言う意味のサークルです。

正直、よくわからない、と言う印象を受けました。


夢を歩くってどう言う事なんでしょう、、?


「、、南クン、私は才能を感じてしまったんだ、君にな。」


淡々とそう先輩が告げる。


「はぁ、、それでこのサークルって」


まぁとりあえずよくわからないと言う事を伝えてみる事にした。


「ここは夢を歩く場所さ、

私はな?『スクールカウンセラーにかかった他生徒の夢に入って原因さぐってあわよくば治してしまえーっていう理念』で動いてる、

言うなればここは人助けのサークルだよ。」


つまり、ある意味の治療、と言う事らしいです。

大丈夫?違法じゃないの?


「まああれだ、なんだったら今から南クンの夢に入っていくことも可能だぞ?気になるだろ?な??」


と、半ば強引にベッドへ誘導されてしまいました。。


「あの、、私、、」


断ろう、と思い言葉を続けようとしましたが。


「大丈夫、痛くないから、ほらこれ、これつけて。」


と、先輩に渡されたものはヘッドホンとアイマスクが融合した様な機械でした、


このまま帰る、なんて事出来ないなとふんで、素直にその機械をつけベッドへと寝転びます。


数秒の沈黙。


「さて、はじめるぞ。」


その声をトリガーに私の意識はどんどんと夢へと溺れて行きます。


呼吸をすると甘い甘い匂いがしてきます。

これは幸せな夢の様ですね。良かった。


─────


「はは、、才能があるとは言ったがここまでとは。」


先輩の声が聞こえます。


明晰夢めいせきむだっけ、きちんと意識がある様だね。」


目を開けると、白百合の花畑でした。それと先輩。


「ん、、凄いですね、先輩。夢に入り込めるだなんて。」


「いいや、それは私の作った『Reve marcherレーヴマルシェ』のお陰さ。それにしても南クン、君はどうやら何もしなくても他人の夢に入り込めるドアを持っているんだね。」


ドア、確かに私の夢にはいつもドアが出てきた。

そこを開けると、不思議な世界に居るお父さんだったり、お母さんだったりに会いに行けた、

あれはその人の夢だった、と言う事みたいだった。


「、、あぁもしかして南クン、祝福ギフト持ちかい?」


1秒に満たない沈黙と質問。


祝福。それは神からの贈り物とされる能力のこと。さまざまな力があって、祝福持ちは余り多くは居ないらしい。


「確かに、昔薄らうっすら、祝福持ちとは聞いた事がありますけど、、」


あやふやな記憶を辿り回答を紡ぐ。


「、、そうだな、君はこのサークルに必要な存在みたいだ、、。どうだい?わたしと一緒に人助けをしてみないかい?」


その答えを咀嚼する様に数回頷き先輩はそう言葉を発する。


「えっと、、」


私に向けられた笑顔に思わずドキッとしてしまう。

それに合わせ白百合が背丈を伸ばす。


「おや、、これは興味深いね。」


先輩がキョロキョロと背丈の伸びた白いカーペットを見る。


「あぁ、、こ、これは、、」


少し恥ずかしい、なんだか先輩の声を聞くたび胸がほわほわして、まるで恋をしてしまったかの、様な、、あぁまた伸びた。


「返答次第では南クンの願いを聴いてあげようかなって、考えてるんだけど、どうだい?決まった?」


あぁ、多分先輩にはバレている。見透かされている。


「っ、、は、、入ります、、!」


恥ずかしい、早く覚めたい、そんな願いを込めて返答する。


「そっか。それは良かった。」


そう発するとどんどんとこちらにやってくる。


そして。


「よろしくね。芽衣。」


小悪魔みたいに笑って。


唇を─────

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Reve_ marcher 游黎 @Yuuragi

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