きっと帰ってくると信じている人々
今回で「クリスマスに帰る」はラストです。作者のジョン・コリア、本当にゴメンナサイ。
乱歩とヒッチコックばかり取り上げていました。というか、「クリスマスに帰る」本編よりも「どこそこに乱歩がヒッチチコックについて書いていて~」といった箇所のほうが長いのではないか。
ダラダラ書かないというのは大事であり、難しいところです。ミステリというのは、どうしても必要なデータを提示しないといけない部分があるからです。
この「クリスマスに帰る」において、必要なデータ、欠かせない要素はなにか。やはりタイトルにもあるようにカーペンター博士夫妻が“クリスマスに帰る”ことではないでしょうか。そして、一人の例外を除いてクリスマスに帰ってくることを登場人物誰もが信じていること。
ちょっとデリケートな部分に触れそうなので、このへんでブレーキを踏んでおくことにしましょう。
このお話のエンジンは、新版の96ページの9行目まではなにがミステリなのか読者にはわからないところでしょう。もしかしたら、ジョン・コリアマニアならわかるかもしれませんが、普通の読み手はわからないはず。
そこからは「えっ! えっ!」と感じている間に物語は進み(なにしろ短い)、実にしゃれた幕切れを迎えます。ラストが印象的な作品はたくさんありますが、この形は斬新。
次回からコーネル・ウールリッチ……ではなく、ウィリアム・アイリッシュの“The Fingernail”を取り上げます。
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