サムじゃないよトムだったよ

 大絶賛した「スペードという男」ですが、登場人物が多いのが難といえば難。

 短編で容疑者が少ないとすぐに犯人の目星がつく、というのも問題ですが、反対にあまりに登場人物が多いと苦労します。

 特に海外ものの場合、名前になじみがないので誰が誰だかとなる場合も。

 これが長編だと登場人物一覧がついてたり、うまい作家は適宜、整理したり、しっかり描きわけたり、出し入れの順番やタイミングを計算したりと工夫をこらすわけですが、枚数の限られた短編では、そういう工夫をする十分な余裕がありません。

 特にこの「スペードという男」では、やたらと警察関係者が出てきます。

 このへんはいかにもハードボイルドの手筋っぽい。

 名探偵ものだと、捜査官代表みたいな人だけ名前があり、相棒は「若いほうの刑事」みたいに名無しが大半、鑑識は名前がないのが当たり前みたいな感じですが、「スペードという男」は役職や物語の重要性問わず、じゃんじゃん警察関係者が名前つきで出てきます。

 またそのうちの一人がサムならぬトムなので、疲れ目にはややこしいことこのうえないのです。

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