案外、オススメできるのかも

 この『世界推理短編傑作集』シリーズ(いわゆる新版)も、「偶然の審判」で三巻まで紹介できたことになります。

 小説のなかで犯罪と解決を描いたものというくくりから、はっきりと推理小説が分離し、ジャンルのお約束をひねったり揶揄したりするような作品もでてきましたね、というところまできました。

 バークリーというのは推理小説というジャンルをどこか引いてみている節があり、この時期を象徴する作家であると感じます。

 とはいえ「偶然の審判」は昨今のエンタメに慣れた人々からすれば、それほど毒気もなく、案外、今オススメして海外古典ミステリーを読まない層にもうけるのかもしれません。

 現代人に馴染みのない小道具を用いた機械的なトリックによる密室よりは、心理的な錯誤がただされることによる構造の転換みたいなもののほうがうけるでしょう。

 次回から四巻です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る