謎解き推理小説は不完全犯罪の物語
今回から「完全犯罪」を取り上げます。作者はベン・レイ・レドマン。
前回の終わりに予告的に「問題作」と書きました。どこが問題なのか。それはこの作品がタイトル通りに「完全犯罪」についての物語だからです。
世界一の名探偵とその友人が完全犯罪について議論するところから、このお話は始まります。
多くのミステリーは、不完全犯罪の物語です。初期というか、推理小説が推理小説として自立する以前の一つのフォーマットは、名探偵の論理的な推理による謎解きではなく、勧善懲悪を伝える寓話的な要素が支えていたように思います。
ジャンルとして確立してからも、犯人が明らかになって幕を閉じるのがスタンダード。いわば、完全犯罪の不成立こそがミステリーという様式を成立させるわけです。
完全犯罪を描くことは、ある種、推理小説のフォーマットの破壊でもあります。
この作品が厄介なのは、恐らく作者がミステリーの破壊行為に自覚的なこと。
私個人の感覚ですが、明らかにこの作者はミステリーを潰しにきています。
従来の推理小説を壊すことで、面白い話が書けると狙って書いているようにしか思えないのです。
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