茶の葉? あぁ、アレね

 今回からは「茶の葉」について書いていきます。作者はエドガー・ジェプスンとロバート・ユーステス。二人の合作です。

 ケルスタンという老人とウィラトンという青年が知り合いになります。やがて、ウィラトンはケルスタンの娘、ルースと婚約するまでになりますが突然、婚約は破棄に。仲のよかった老人と青年は互いを罵りあうような険悪な関係になってしまいます。とりわけ、ケルスタンは生来の底意地の悪さもあいまって、娘を捨てたウィラトンの悪口をあちこちで吹聴してまわるほどに。

 それでも二人は月に二度の【ある場所】で必ず顔をあわせます。ある日、部屋から二人の怒鳴りあう声が聞こえ、ウィラトンが飛び出してきます。そして、部屋からはケルスタンの死体が見つかります。はたして、ウィラトンが犯人なのか。

というのが、あらすじです。

 もしかすると「あれ」と首をひねったかたがいらっしゃるかもしれません。そういうかたは、たぶん「茶の葉」を読んでいるのでしょう。

さきほどのあらすじ、私がまとめたのですが、通常、ミステリのガイドブックなどで紹介されるものと少し色合いが違うのです。普通ならば、当然、触れてあるポイントをあえて私は外しました。なぜならば、初見で読んで存分に楽しんでもらうには、ガイドブック的なツボを押さえたあらすじでは、まずいのではないかと感じたからです。

 前回の最後に「茶の葉」の紹介には「ちょっとした難題が待っている」と書いたのは、ここです。この作品、今の読者には古い。古いという言葉よりもふさわしいワードもあるのですが、それすら使うことをためらいます。

 この作品を古さを感じずに読んでもらうためには、解くべき謎のポイントすら提示しないほうがいいと考えるのです。

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