勘違い

 今回は「ブルックベンド荘の悲劇」のラストで、次回からM・D・ポーストの「ズームドルフ事件」の予定でしたが、「オスカー・ブロズキー事件」関連で補足をします。

 倒叙ミステリの元祖が「歌う白骨」と書きましたが、ちょっと私の勘違いもあり、わかりにくいところがありました。

 倒叙ミステリーの元祖は1912年の短編集『歌う白骨』(原題 The Singing Bone)で間違いないのですが、倒叙ものの第一作は1911年の短編「オスカー・ブロズキー事件」です。その後、第二作として“A Case of Premedication”があり、第三作が短編「歌う白骨」(原題 The Echo of a Mutiny 注 初出の雑誌ピアスン誌に発表時はDeath on the Girdler)ということです。

 『ソーンダイク博士の事件簿』(オースチン・フリーマン著 大久保康雄訳 創元推理文庫)の戸川安宣さんのあとがきを読み、これは書いておかなければならないと感じました。『世界推理短編傑作集2』(新版の2)の巻末のこれまた戸川安宣さんの解説にもきちんと「オスカー・ブロズキー事件」は短編集『歌う白骨』に収録されたとあるので、私が勘違いをしていただけなのですが、同名の短編と短編集があるのが私の誤解のもとになりました。

 なんで短編「歌う白骨」でなく「オスカー・ブロズキー事件」のほうをとったのか疑問でしたが、倒叙の元祖としての歴史的価値もあって、「オスカー~」なのだと納得しました。

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