マックス・カラドス

 今回から「ブルックベンド荘の悲劇」を取り上げます。

 盲目の探偵、マックス・カラドスものの代表作。短編は全部で二十六作品ということで、その気になれば全作、目を通すことも可能でしょう。

 姉が義理の兄に命を狙われているという依頼人が現れるところから物語は始まります。

 カラドスは問題の姉夫婦の家を訪ね、いくつかの変わった点を発見します。

 一度、毒で命を奪うことに失敗した夫がどうやって妻を亡き者にするか、その方法がメインテーマ。×を利用するのは今となっては、真新しさを感じないトリックですが、初期のものとしては出来はよいのでしょう。

 ×の利用を思いつくにふさわしい犯人像にしていることが、まず評価が高いです。

 もちろん、この作品の種はトリックで、トリックから物語をつくっているに違いありません。このトリックを実現するには、どんな舞台が必要か、そこにどういう登場人物を配置するのか。トリックをなじませるための作者の工夫を分析しながら読むと、より面白い作品です。

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