第19話 宿泊
その夜、ファムは総持寺家に宿泊することになった。神戸もファムのことを任せるといって帰っていった。 魔王様の扱いとしては少しいい加減ではないかと思ったが口にしないことにした。寛大な叔母さんは、ファムが泊まることに抵抗も無い様子であった。 また、外泊をするという設定なった俺の部屋でファムはベッドに潜り込んだ。 最初はベッドが硬いとか文句を言っていたが、疲れていたせいもあってかすぐに眠りについた。 その寝顔は邪気のない少年のようであった。
「可愛いわね」詩織さんは少し頬を赤らめて、彼の寝顔を見つめていた。
「えっと、俺は何処で眠れば・・・・・いいのかな?」
「直美の部屋でいいんじゃないの」詩織さんはずっとファムの寝顔に見とれている。
「えっ、なんで、私の部屋?!」直美は顔を真っ赤に染めている。
「あら、嫌なら私の部屋で寝る? コウ君」
「愛美の部屋でもいいよ! 一緒に寝よう、一緒に!」無邪気に愛美ちゃんもはしゃいでいる。
「えっ、俺は・・・・・・・」判断に躊躇する。
「わ、解ったわ、私の部屋でいいわ! で、でもベッドは駄目よ! 私のベッド小さいし!」慌てふためくように直美は言った。
「あら、ベッドが大きかったら一緒に寝るのかしら?」詩織さんは意地悪そうに笑った。
「そ、そ、そ・・・・・・」直美は顔を真っ赤にめて「そんな訳ないでしょ!!!」と叫びながら部屋を飛び出していった。
「でも、直美が詩織さんの部屋で寝ればいいんじゃないですか?」俺は素朴な疑問を口にした。
「私は、人が同じ部屋にいると眠れないのよ。あ・し・か・ら・ず」そう言うと詩織さんも部屋を出て行った。
「愛美も寝ようっと! コウお姉ちゃんお休み」大きな欠伸をすると愛美ちゃんも詩織さんに習うように部屋を出て行った。
「なんなんだよ・・・・・・・」意味が解らず俺は頭をかいた。
「直美、入るぞ」ノックをして確認する。
「どうぞ・・・・・・」直美の声を聞いてから部屋のドアを開ける。直美のベッドの横に布団が一式敷いてあった。
直美は背を向けてベッドの中で布団を被っている。
「えーと、あ、お、お休み」俺は言いながら電気を消して床の布団の中に潜り込んだ。
「お、お休み」小さな声で直美が返答をした。少し声が震えているような感じがした。なかなか、緊張してなかなか寝付けないが、俺の体は十二時を過ぎると元の体に戻ってしまうのでその前に夢の中に逃げ込むことにする。古典的ではあるが、羊の数を数えると疲れのせいか意識が消えていった。
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