厨二病が異世界救うってホント?
フラット
厨二病達は異世界へと誘われた
見上げるとそこには雲一つない青空、直接肌に突き刺さる陽の光。あたりにはさっそうと生い茂る草木が広がっていた。
「おい! ここは一体どこなんだよ。確か俺たちは学校の図書室にいたはずだよな? なのにいつの間にか天井がないし、外は草原が広がってるし、えっ? 俺たちはどうなっちまったんだよ!」
「何をそう驚いている。この状況を見てまだ理解できないのか?……全く、これだから君は『にわか』と呼ばれるのだ」
「やれやれ、一から説明せねばならんとは…………いいか、我らは転移したのだ! どこかの異世界にな!」
「はぁ?」
(どこかの異世界だって? コイツ 頭大丈夫か?)
「それより、まずはここからどこへ向かうかだが…………君ならどうする、ダークファウスト」
「そうだなぁ……無難だが、まずはこの土地を散策してみるのが良いのではないか? フレイムロードよ」
「そうだな。ではそうしようか。ほら行くぞコンビニエンサー」
「ちっっっがぁぁぁぁう ! 俺は田中拓斗だ! そんな二つ名を名乗った覚えはないし、二つ名としても酷すぎる! もっとマシなやつにしてくれよ、せめて!…… ってそんなことが言いたいんじゃない。まずはこの状況を正確に把握しないと…………っておい! ちょっと待てよ!」
「なんだ? まだ何かあるのか?」
「お前らは全く動揺してないんだけど、この状況結構やばいんじゃないのか? 迷わず森ん中入っていこうとしてるけど…… ねぇ、どうなの? っていうかお前らなんなの?」
「何をいまさら言っているんだ
「色々と言いたいけど………お前やっぱ喧嘩売ってんのか! そのあだ名!結局都合のいいパシリってことじゃないか!ちゃんと名前で呼べよ!」
言い争っている三人の少年たちは、地球から転移したばかりであるにもかかわらず、早々に進む目的地を決める。〔一人は理解できていない〕
「喋っていたって仕方ない。まずは進むぞ!」
そう言って先陣を切るのはダークファウスト。またの名を
「ああ、今この時を持って、我らの伝説が動き始めるのだ!」
彼に続き威勢よく声を張り上げるフレイムロード。またの名を
そんな中、いまだ自身の境遇に嘆いているコンビニエンサー、こと田中拓斗は、この中でも唯一の常識を持った人間。(実際はただのにわか。)
また、二つ名の由来についてだが、本人の言うように、『只々便利で都合よくぱしられているから』
というとても残念な理由からだ。
「大体いつもお前らはそう言って俺を毎日毎日こき使いやがって……」
「落ち着け。ここでそのような昔話をしていても、時間の無駄でしかない。今、我らがしんに話し合うべきはここからどうするのか、ということだ。違うか?」
「ま、まぁそれは確かにその通りだ。今そんな話をしても仕方なかった。悪い。今のは俺が悪かった」
「わかればいい。それよりファウストよ。気づいたか?」
「ああ。何かが近くに潜んでいる」
「えっそれはさすがにないだろ? 仮に異世界? に転移したとして、まだ来てから一分ほどじゃないか。襲われるなんて………」
「バカか貴様は! それはフラグだ!」
(フラグってゲームやアニメじゃあるまいしそんな都合良く出てくるかよ。)
拓斗がそう考えた瞬間。オオカミのようなものが3人に向かってじわじわと歩み寄り、周りを囲んだ。まるで、お前たちを逃がすつもりは無い。とでも言いたげなほどに。その数はざっと20体ほどだった。この危機に普通の学生は慌てふためくだろう。 にもかかわらず、
「ついに使う時が来たか。僕の封印されし禁断の力を」
「全く。早速やってくれたじゃないか! ま、まぁこの程度の敵、一瞬で我が持つ禁断の力で塵にすることも可能だがな!」
「ナニイッテルノ? オレタチマダナニモシテナイヨ? ソレニオレタチチカラナンテモッテナイヨ?」
拓斗はハプニングの連続で頭の処理速度が追い付かず、しっかりと2人にはツッコミを入れるものの、思考は完全に停止してしまっている。
ただそれだけである。しかし、拓斗のこの様子に2人は、
「おい! しっかりしろ!まさかこれは! …………………………気をつけろファウスト! こいつらは幻惑魔法を使っている!」
「なるほど。幻術を使えるウルフか。これは厄介だな。どうするべきか?」
「なぁファウスト。ここは1時体制を立て直すべきではないか? これは明らかに不利だ」
「何を言うんだフレイムロードよ。転移者たるもの、敵を見て戦わずしてどうする? それに君はさっき、一瞬で塵にする! と言っていたはずだよな?……」
「も、もちろん可能だ……だが、それはあくまで俺一人だったらの話だ! こいつを庇って戦うなど……武器さえあれば俺は……」
「いやしかし、ロード。あいつらの目を見てみろ!フッッ。残念ながら僕たちを逃がす気はさらさらないようだ」
「ハッ!そ、そのようだな! あの目は、獲物を地の底まで狙い続ける、まさに捕食者の目だ!」
「そうだ。こちらも覚悟を決めねばなるまい」
「しかし、だとしたらどうする? こちらは三人。あっちは20体だぞ!」
「ナイトメアを使う!」
そう言って一は左手で右目を隠す。
「なるほど! 効果はわからんが、何となく響きが強そうだ! 正直お前より異能について知っているものを、俺は聞いたことがない」
「ならばみていることだ!この僕が一瞬にして敵を葬り去る光景を!」
そう言いながら一は手で隠していた眼を開き、鋭い眼光と共に、
「真の幻影というものを教えてやろう。君達の幻術の、さらにその先の力を!! くらえ! ナイトメア!!」
と叫んだ。同時に隠していた左目を大きく開く。すると、当たりが一瞬闇に包まれる。右も左も、上も下も、全ての感覚が損失したような錯覚に襲われる。
目の前にいた20体のオオカミたちは、その一瞬の出来事によって、全て白目をむいて倒れこんでしまった。
田中も驚きの余り泡を吹いて気絶していた。
「……さすがだファウスト。一瞬我の視界も真っ暗になって何が起きているかわからなかったぞ」
(え、何これ?)
「……田中は気絶したか………やはりこの力…僕にはまだあまり制御できていないらしい。だが! 必ずものにして見せよう」
一は高らかに笑いながらそう呟く。その間に、タクトはというと、置かれた状況がそれはそれはもう光のごとく、目まぐるしいほどに変わっていくため、それに対応することができず、未だ気絶したままであった。
「おい。まだ幻惑魔法にかかっているのか貴様は」
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