銅像妖怪・二宮金次郎くんと! 夕美映町『午前6時前の百鬼暁行』

冬咲花堂

——『オープニング』——

「夜空を飛行し【者】二つ。あり──」




 夕美映町ゆうみばえちょう、12月の始まり。早朝、午前、六時前。


【夜、まさに明けなんとして、益々暗し〗



 暁前の、一番夜の闇が深いとされている、この時間帯



~~



<ピピッ!! 妖魔レーダーに反応あり!>

<人に仇なす魑魅すだま魍魎もうりょうの可能性、大大大!! 多数大!>


「大か〜〜。さっき大迷惑な人面犬のフンの処理に時間がとにっかく!! かかったんだけどなーーー………」。


『そんなこと言ってる場合じゃあないですよ。ご主人様!! 妖魔レーダーにも反応のある通り、きな臭い匂いがこの町の幽霊・妖怪、後モノノ怪からは、とにかくするんだ、ばぬりよ〜〜!』


「まだすんの~~、フンの臭いー………。一生は……とれるか。まあ今回「救世法者くぜほうじゃ妖人ようじん仲介プロテクトコミットサスピシャスホーム〔ながいので通称・妖仲ようちゅうプロコミサスステーション〕」。


「プロコミサスて……。ステーションどっから出たぁばぬりー!?」


「……そこから仕事依頼の事により、きみが元来住んでいた『夕美映町ゆうみばえちょう』の町へ今回の業務で出向いて、この町の人と妖怪・モノノ怪自体もそうらしいけど、経緯があって今回はおいらのバディをきみに選んだんだからな」。


「まだ『あそこで』眠り続けていたかったのに二度目でもう御主人様、オイラを起こしちゃったから〜〜」。


〔………全ての用語を詰み込ませようとしたから、ちょいゆがみだし、堅苦しいし、長いし余計……………〕。



 夜も明ける闇のなかで二つの『なにか』がまばゆい閃光に様変わりし、その身を眩く放ちながら高速で夜空の空中を移動している……。


「へんぴな田舎だな〜。元々こういう村はおいらの性分に『似合いそうで似合わない』んだよなーー。先のそれこそ、それはそれはあんな高い塔へ、あれは仕事の初見としての見学として。いったはいいんだけど、……なんかあの場所にいったら…………」


『でもここの文化の史実にも書いてある通り、ご主人様の性格に見事に合ったべっぴんさんが夕美映町ゆうみばえちょうの土地には。多いばぬりよー、もちろん。も』


「おやっ、もう朝なのに、おいらでも余裕のよっちゃんで妖怪として見分けることの出来る、この町出身「夕美映町ゆうみばえちょう独特産どくとくさん」の『気力きりき』ありありーな、魑魅すだま魍魎もうりょうの群れを発見!! ん、あれ……」



<<ガクンッ!>>



「体が、あれれれ〜〜」


『オラもだー。さっきから東へと飛んでるのに、体が元いた場所へ戻ろうとしていうことを効かないばぬりよ〜』


「何なんだよコレ〜、これじゃあ妖仲ようちゅうプロコミサスステーションの仕事にありつけないよ! どうすりゃいいんだ〜」。



〔だからステーションは関西の方のどこなんやて………──! ッッットゥトゥトゥトゥトゥ〜〜〜トゥ~~♪ トゥトゥトゥトゥ~~トゥ〜〜♬ ッッッットゥトゥトゥトゥトゥーーー、トゥッ! ゥウウゥ~~トゥトゥトゥトゥーーートゥ!♪! ………う〜〜〜ん、あっ、えっ、あぁ、おは…ハアァ〜〜〜ァァア、おっはようございます。司会の『冬咲花モネミ』です。始まっちゃいましたよ、もう始発だよっしゃステーション。何なの、この始まり方は………!!! ………ちなみに俺は、いったい……………〕



 一人と一本の得体は知れない『なにか』は、飛行している上空の高度からは、徐々に徐々にと下降していき、して最後は夕美映町のまだ日の出前の薄暗い、田んぼに、


<ボッチャ〜〜〜ンス!!!>


 泥が弾けることも、音もすることもなく。あえなく撃墜。


「ぐく……どっこい……、あ"ーー駄目だ、動けない……、……そうか……。どうやらこの時間になると、夕美映町ゆうみばえちょう出身のモノノ怪の類、おいらも例外ではない現代の「妖怪」、そして妖怪にも区別される魑魅すたま魍魎もうりょう、たちも、また。……何かの影から、の、……仕……業、によ、り……視力もなく、な、り……、次第、……に、は……」〔どっこいしょう一君?!? ……………〕


 一人と一本の怪しげななにかは「外から障ってきた【何か】」から抗がい、のたくりまわりしながらも、姿自体だんだんと薄くなっていき、して最後はその場から何処いずこへ「スーーッ……」と、消えてしまった。



 そして……。



 ~~



 <ギ…> <ギギギー> <ギーー>、



 ハアッ


 ハアッ


 ハアッ


 ふぅっ。



<<ギー、コ>>

<<ギー、コ>>


<<<ギギッ>>>



 うっ、とっ。




「おばちゃんの所も含めて朝刊の新聞はあと5軒か。急がないと。新聞、大漁〜〜鮮隊せんたい、ギョレンジャー、参上!」




……

……

……〔ナゾッ〕。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る