指輪と少年

なるこ葉

第1話

指輪と少年


気がついた時にはもうあった。

右手のおねえさん指に木のゆびわ。

毎年誕生日にママがくれるんだ。渡す時の顔がすごく嬉しそうで、ぼくはすごく誇らしかった。

ぼく知ってるんだ、これはママの手作りで、近くの木を少しもらってるんだ。

でも、どうしてぼくはこれをつけてるのかはわからなかった。

ある日、友達と夢中で遊んでたんだ。走り回って、転んで、笑って、泥んこになって帰った。

てをあらってると、指輪がないことに気づいた。心臓が急にいたくなって、ぼくはなにも言わずに家を飛び出した。

どこ?どこにいっちゃったの?

宝物、、宝物なのに、、せっかくママがくれたのに、、

ぼくは地面をさわって歩いた。涙で前が見えなくなって、必死に拭った。

外が暗くなってしまって、ついに地面も見えなくなってしまった。

ぼくはしゃがみ込んで大声で泣いた。すると、遠くから優しい力強い声がした。

ママはぼくを見つけた途端、抱きしめて涙を流した。

あなたまで帰ってこなかったらどうしようかと、、、

ぼくのパパは、お仕事に出かけたまま、帰ってこなかったんだ。帰ってきたのはもうパパじゃなかった。

あのゆびわはぼくが無事帰ってこれる、ママのお守りだったんだね。


あれからママから何個も指輪をもらったけど、今日はぼくがあげる番なんだ。

緊張する僕をママが笑顔で見送ってくれた。

ぼくは歩き出して、君のもとへ走った。

左手の薬指に、煌めく石のついた指輪を贈るために。

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指輪と少年 なるこ葉 @mandr

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