名探偵になりたかった

徳野壮一

第1話

 地元に愛されるスーパーマーケットがあった。豊富な品揃え、財布に優しい値段設定、人のいい店長。少し外観や内装が古くさいが、毎日多くの人がおとずれていた。

 そんなスーパーの昼のピークをおえ閑散とし出した3時少し前、ある女性が来店した。

 黒いスニーカー、ライトブルーのデニム、白のシャツの胸元は開けており、顔には大きめのサングラス。手に持つカバンはブランドもののように見える。

 店内の雰囲気とはじゃっかん不釣り合いで浮いていた。

 その女性はカートにカゴを乗せ、そのカゴにカバンを入れ店内を回る。

 その女性を陳列棚陰からコッソリと覗く男がいた。

 その男は、女性が動くとさりげなく後を追う。その絶妙な距離の取り方は、後をつけるのが初めてではないことをものがたっていた。

 女性は男には気づかず商品を手に取ったりしている。

 どこか頭に残る陽気なこの店のテーマソングが静かな店内に響いていた。

 女性は、会計しに向かった。精算が済むとサッカー台にカゴを置きスーパー袋に買った商品を入れる。買い物カゴをレジ横にあるカゴ置き場にあるカゴに重ねると、カートを引き外に向かう。

 男は少し離れた場所で商品を見ていた。いや、見ているように見せかけ確実に女性に意識を向けていた。

 女性はカートに置いていた自分のカバンと買った商品が詰まった袋を手に持ち、カートを戻すと店を出た。

 男は女性が店を出るや否や、走り出し店の外へ走り出した。

 少し先を歩いている女性を見つけると

 静かに、しかし素早く女性の背後につき、

 肩を掴み、

 そして——

 

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