第329話
「
廊下に出てそう教えてあげると、待ちくたびれてウトウトしていた彼女はパッと笑顔になって抱きついてきた。
そんな様子を見ていた
「旦那様?」
「あ、いや、彼は素晴らしい人間だよ。あはは……」
「はい、よく出来ました」
聞いたところによると、彼女の所属する
現在所属しているのは
「では、
「気が早すぎるよ」
「善は急げと言いますが?」
「そういう話はせめて大人になってからにしようよ」
「それはプロポーズですか?」
「違うってば……」
僕はそんな会話の最中も擦り寄ってくる麗華を何とか宥めつつ、少し前2
『
詳しくは教えて貰えなかったけれど、恐らく2人ともメイド機動隊のメンバーだろう。
この屋敷の中にいるであろうとは思えるものの、どう気をつければいいのかは分からない。そもそも、見た目すら分からないもんね。
「瑛斗さん、今日はもう帰られますか?」
「そうだね。
「では、着替えのために私の部屋へ向かっていてください。メイドの誰かに
「うん、わかった」
麗華はそう言って偶然通り掛かった2人のメイドを呼び止めると、それぞれに素早く指示を出した。
オレンジに近い明るい髪色をしたメイドさんには、紅葉を迎えに行ってもらうように頼み、やけに胸元の露出したお姉さんメイドには僕の案内を頼んでくれる。
「
「かしこまり!」
「承知しましたぁ♡」
その瞬間、僕は背筋がゾクッとして反射的に距離を取ってしまった。だって、偶然にも今目の前にいるのが『お気を付けを』の対象なのだから。
「ふふ、どうかなさいましたか?」
「……いや、なんでもないです」
やけに色気を放ってくるのは、彼女がそういう方法での『お掃除』を得意としているからだろうか。
そういう系統は僕には効果が無いものの、それでも危険さが分かっていて隣にいるのはかなり気を遣うものだった。
「あの、聞いてもいいですかぁ♡」
「何ですか……?」
しばらく廊下を進んだところで、突然
一体なんだろうと振り返ろうとしたその時、彼女はメイド服の胸元をグッと引っ張り、大幅に露出を増やした。
「っ……?!」
単なる変態行為ではない。谷間から覗く噴射口のようなものに気が付いた僕は、脳が判断するよりも先に横に転がっていた。
直後に噴出されたのはピンク色の煙。吸ったら絶対にマズイタイプのやつであることは間違いない。
「やっぱり、私の正体に気付いてたぁ♡」
「避けなかったらどうするつもりだったんですか」
「大丈夫大丈夫♪ ちょーっぴり変な気分になるだけの煙だよぉ♡」
「それを危険って言うんですよ」
殺意はなかったらしいけれど、
だからこその気を付けろという忠告だったのだろうか。なら、今頃紅葉も変なことに巻き込まれてないといいんだけど。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
……うん、手遅れだったみたい。
僕は心の中でため息をつくと、胸元を整える
何も知らない紅葉が命の危険に晒されはしないと思うけれど、帰ってきた時は慰めてあげよう。きっとろくな目に遭っていないだろうから。
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