うちの旦那は声優である。
笹原絢斗
第2話 ~斎藤夫婦紹介編~ 番外編その2
俺は斎藤悠樹。声優だ。
自分で言うのもなんだが、人気声優として活動させてもらっている。
俺は昔、大人しくて内気な性格だった。
それに漬け込んだ悪ガキ供から嫌がらせをされたり悪口を言われたりして、いじめをする人間も、それを見てみぬフリをする人間にも、何にも抵抗しようとしない弱い自分自身にも嫌気が差して、一時期不登校になったこともあった。
「何で俺が。」と何度自分を否定し、自分がよく分からなくなって、皮肉を呟いたことだろう。
けれど、ある時親身に自分の悩みを聞いてくれた恩師が「声優」という職業のことについて話してくれた。
それから声優について色々調べてみたり、アニメを観たりして、自分であって自分じゃない新しい自分を「演じる」という世界観に俺はどんどん魅了されていった。
学校は中退して、声優養成学校とバイトの掛け持ちで数年間過ごした。
親に最初は反対されたが、レッスン費は自分で出すことと、覚悟をもってやることを条件に許してくれた。
この時期はかなり大変だった。
演技の経験は全くなかったし、他の生徒のレベルはどの人も高くて自分は出来るのだろうか、ついていけるのだろうか、と自信がなくなったことも何度もあった。
バイトもいくつも掛け持ちしてヘロヘロの状態で学校に通った。
けれど覚悟を決めてやると決めたからには、やるだけ足掻いてみよう。
惨めでも、恥ずかしくても、なりたい自分に少しでも近づくことができるのならば、と。
事務所に所属するためのオーディションに受かるまでに数年、
事務所に所属したものの声優の仕事がなくて数年(仕事を得られたときはガヤの人材として)、
そしてようやく名前のある役を得られるまでに数年、
そしてようやく、主役をやらせてもらうことになった。
主役が決定した瞬間、押さえていたいろんな感情が一気に込み上げてきて、それを一旦落ち着かせ、打ち合わせしたあとトイレへ駆け込み、こらえていた涙がしばらく止まらなかった。男泣きだ。
この時、なにが一番涙にきた理由なのかよく覚えてないくらい、言葉にならないくらいの
最上級の喜びだった。
泣きじゃくった後は、すごく頭が痛くなったことは覚えている。
気持ちのいい頭痛だった。
そしてまた、後々詩乃との出会いの馴れ初めは話すとして、
俺はこうして声優として活動させていただけるようになって、生涯の相棒とも出会い、本当に俺は幸せ者だと噛み締めた。
ーーーーーこれは声優の夫達とその嫁達の凸凹ラブコメディであるーーーーー
~次回から日常系アニメ声優業界ラブコメデイ本編始動!~
登場人物
斎藤悠樹
性別 男性
身長 170cm
誕生日 8月15日
配偶者 斎藤詩乃(小説家)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます