5章 テストして改善するべし
第72話 2度目の満月
満月の夜を迎える。
その日の夕方。
兵器を城壁前に移動させつつ、準備し、討伐隊も配置に付こうとしていた。
王都シュテール城壁前に広がる荒野。
夕日が沈みゆく最中、ジュドーが遠くから迫る土煙を発見した。
「おい…もう来たぞ!
満月はまだ上がってないってのに、えらく時間が早いな…!」
一斉にヒロも、討伐隊もジュドーが指さす方向を見た。
「確かに…ゾームが来ています!」
討伐隊の兵士が叫んだ。
ジュドーが指示を出す。
「配置につけ!」
ヒロが兵器の位置を確認し、ジュドーに言う。
「ジュドーさん、兵器がまだ城壁前に到着していません!
ジュドーさん、メグさん、討伐隊でまずは対応をお願いします!」
早い。満月の夜に魔力が上がる。
それがゾームだとして、満月の直前に襲撃してきた。
まるで、襲撃するそのタイミングに魔力が最大となることを計算しているかのようだ。
ゾームはあまり知能が高くないように見えたが、賢い個体がいるのかもしれない。
徐々に姿が見えてきたゾームは、数も以前より多い。
何体であるかヒロには数えられないが、視覚を飛ばす魔法で確認した討伐隊によれば、18体ということだった。
兵器が間に合う前に、ジュドー、メグを先頭に討伐隊とゾームの群れが激突した。
ジュドーは剣技で、メグは魔法で、ゾームを倒す。
討伐隊も、先頭のジュドーとメグを避けたゾームに対して応戦する。
アースバインドをかけ、剣や槍をさし、サンダーボルトを放つ。
かなり洗練された動きになっていた。
それでも、ゾームの数が多い。
ヒロは城壁付近で戦いを眺めていたが、遠目で見ても重傷となった人間が一人、出ているのが分かった。
「兵器の準備、完了しました!」
ヒロの横で、討伐隊の兵士の声がした。
そのまま、討伐隊のメンバーは兵器を二人で担ぎ、ゾームの前にかけだした。
3基の兵器なので、6人がゾームの方へ参戦する形となる。
「お願いします…!」
ヒロは祈った。もう、今のヒロにはそれぐらいしかできない。
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