第64話 仕組みはシンプルにすべし
「とても複雑な制御。
上位の魔導士でしか作れない。
そんな魔道具が組み込まれた兵器になるということです…
これは、魔道具の調子がおかしくなった時に誰がメンテナンスできるのでしょうか?」
メグが答える。
「私ができる」
「メグさん以外に、王都に何名ぐらいいるのでしょう」
ランペルツォンが答えた。
「正確には分からないが…
上位ランクの魔導士、となると多くはない。100人はいないだろう」
ヒロが話す。
「とても、メンテナンスができる人が少ない。
そういうことですね…?」
ランペルツォンがいぶかしむように答えた。
「まぁ、そういうことになる」
ヒロは、数秒沈黙した。
そして、話を切り出す。
「私としては、その案には賛同できません」
「どういうことだ?
メンテナンスできる人は少ないかもしれない。だが、いないわけじゃないんだぞ?」
「いえ…誰もが分からない、簡単にメンテナンスできない、それだけで危険なのです。
メグさんの優秀なのは知っています。
ですが、永続的にメグさんのような魔導士に頼らなければならないものでは、いけないのです」
「意味が分からない!
優秀だからメグをプロジェクトに加えたんだろう!?
何をいまさら言っているんだ!?
お前の言う、”プロジェクトの利点”は各種の専門知識を持った人間を使えるということだと、私に言ったじゃないか!
やはり、ヒロ、お前は部外者…複雑すぎる制御は怖くて手を出したくない、失敗したくない、そういうことなのか!?」
「ランペルツォンさん。
私は、メグさんが失敗するなんてこれっぽっちも思っていません。
むしろ、必ずマーテルさんとメグさんならばどんな複雑な魔道具も作ってしまう、そう思っています」
「ならば、なぜ…」
「上位ランクの魔導士しかメンテナンスできない。
その時点で、運用の費用は増えます。
運用とは、兵器を兵器として使えるように維持していくことです。
調子が悪くなった時に、毎回上位ランクの魔導士に依頼するのと、どうなるか…。
リーガルさんが、黙っていないでしょう」
「費用は、かかる…か。
だが、それでも王都を守るために、高性能な兵器は必要だ」
「いえ。
王都を守るためには、もっとシンプルな機能の兵器でなければならないのです。
ゾームがあと5年襲い続けてきたら?
兵器はメンテナンスを続けなければなりません。国庫を圧迫し続けるでしょう。
もっと言えば…100年後」
「100年後?」
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