第44話 目的を見失うべからず

「でも、弱い魔法なら魔道具に頼らずとも、魔導士にかけさせればいいんじゃないのか?」


ランペルツォンが発言した。

すぐさまマーテルが反論する。


「魔道具を使わずして、何が兵器ですか?」


ジュドーもかぶせて言った。


「確かに、兵器じゃなくなるよな…」


ここで、ヒロが意見を述べる。


「このプロジェクトの目的と達成条件を思い出してください」


ヒロは、プロジェクトの目的と達成条件を見せた。


・プロジェクトの目的

  ゾームの襲撃に対して、王都の人間を守る


・プロジェクトの達成条件

  ゾームからの襲撃があった際に、二ヶ月間で死亡者お呼び重傷者を3人以下に抑える兵器を作る

   三度の満月連続で3人以下となれば、プロジェクトは完了とする


ヒロは言葉を続ける。


「これは、兵器で実現しないといけないわけじゃありません。

 それこそ、全て人力でできるならそれでも良いとは思います。

 ジュドーさんやメグさんのような特別な人しかできない方法で実現するのは、必ず高レベルの冒険者がいないと実現できないという点で安定しません。

 ですが、誰もが使えるような魔法や技で実現できるなら、安定的な仕組みにはなるでしょう」


ヒロは思った。

これは、プロジェクトにおいて陥りがちな状態だ。


手段が目的になってしまう、というもの。

”兵器を作る”というのはあくまでも目的達成のための手段であるのに、そこにこだわってしまう。


プロジェクトの目的や達成条件を見失わずにプロジェクトを進めること。

これもまたプロジェクトマネジメントで重要なことだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る