第41話 未知
ひょっとすると、村で捕食した人の特徴として、あの女性の上半身が出来上がったのかもしれない。
もしくは、パラサイトスペクターが人に寄生し、ジャイアントスパイダーを捕食しということも無くはない。
ただ、良く分からないのは魔法を無効化するバリアを使ったことだ。
パラサイトスペクターの討伐方法である神聖魔法。それを防ぐバリア。
バリアを張る生物を捕食したのかもしれない。
だが、都合がよすぎる。
体の巨大化、バリア、腕の鋼鉄化。
パラサイトスペクターは自我がないはずだが、ゾームは自分を有利に強化する生物ばかりを捕食していることになる。
特性を得られる数には限りがあるので、おそらくはこれ以上の特性を得ることはできないだろうが、とても倒すことが困難なモンスターとなっていることは確かだ。
そして、さらに不気味なのは、数である。
パラサイトスペクターの特性上、同じ形の生物が複数いるのはおかしい。
群れとなると、パラサイトスペクターが群れを成し、同じ場所にいる生物に寄生したということになる。
それが、最も不可解なことだった。
王宮の大魔導士ケルンがこう言っていた。
「パラサイトスペクターは、まれに宿主の意識を奪えず、宿主の意識のまま同調して行動することがある。
もし、今回、悪意を持ったものが宿主で、意識的に群れをなしていたとしたら…
可能性は低いが、とても恐ろしいモンスターになる」
ヒロはその話を聞いて、このプロジェクトの重大さを知った。
意識的に体を強くしているのであれば、普通のパラサイトスペクターと違い、何かをする目的があるはずだとヒロは考えた。
そのためならば人を食らう。人を食らうことが目的と言う可能性もある。
ヒロが湿地帯で相対したゾームは知能が高いようには見えなかったが、知能を持った親玉がいるのかもしれない。
ゾームを確実に討伐できる兵器が必要だ。
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