異世界×プロジェクトマネジメント

爽一郎

プロローグ 異世界でプロマネすべし

第0話 女神の悩み

ズッゴォォォォン!


ただのプロマネ。

ただの人間。

ただの一介のシステムエンジニア。


そんな彼が放った魔法は、モンスター共々見渡す限りを破壊し尽くした。


「なんか、出た…!?」


自分がとてつもないモンスターを倒した事実に、廣田は驚きの声を上げた。


***


時は少し遡る。


女神ファシュファルは悩んでいた。


「どうすれば、私の世界がもっと発展するのかしら…」


神はそれぞれ、自分の管轄する世界を持つ。

女神ファシュファルの世界は、まだまだ発展途上。


「いまだに国同士が小競り合いしてるし。

 人間に魔法の力を授けたのに、なんか魔物に押され気味でなかなか豊かにならないし…。

 私、才能ないのかしら…ぐすん」


神は自分の管轄する世界を発展させることがお仕事。

ファシュファルの世界は、なかなか人間たちの暮らしが豊かにならない。

それがファシュファルの悩みである。


「ねぇ、ちょっとあなたの世界を見せてみてよ。

 地球…って言ったっけ?」


ちょうど横にいた同僚の神、ガイアにファシュファルは話しかけた。

ガイアが答える。


「いいよ。

 地球、見せてあげる」

 

ファシュファルは地球を見て驚いた。


「え!?

 これ、もうめちゃくちゃ発展してるじゃないの!

 あんたの世界、魔法ないはずよね!?

 え?どうやったの!?」


「なんかね。

 人間たちの頭が良くって、勝手に発展してった。

 マジでラッキー」


「そんなに頭がいいの!?あんたの世界の人間は!

 羨ましい…」


ファシュファルに妙案が浮かんだ。


「ねぇ、ガイア。

 あんたの世界の賢い人間を一人、私の世界に貸してくれない?」


「そうだねぇ。

 一人ぐらいなら、いいよ」


「やった!ありがとう!

 とびっきり賢いのを選んでね!」


「そうだな…

 異世界に移転させても因果律が歪まない人間で、かつファシュファルの世界になさそうな知識持ってそうな人間ね…」


ガイアが目を閉じて自分の世界を検索する。

見つかったのか、目をパチッと開けた。

ガイアが右手をかざすと、二人の前に人間の姿が映った。


「彼なんてどう?

 廣田 準之助(ひろた じゅんのすけ)。

 ある分野に、とっても深い知識がある。

 きっとファシュファルの世界の役に立つと思う」


「なんだかさえない感じね。

 まぁ、この際どんな人間でもいいわ。

 私の世界を良くしてくれるなら。

 その人間、私の世界に転移させてもらっていい?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る