空想コンテストがあったなら
君の空想 私の空想
みんなの空想が評価される時代が来たならば
学校教育の中でも カリキュラムの一つとして
空想の勉強があったなら
子ども達はどう感じるだろうか
習字の金賞銀賞みたいに
優秀賞は公開されるんだろうか
空想のメカニズムは誰も知らないし
そもそもガラクタの寄せ集めに過ぎないのに
そんなやつの空想が何故か金賞を取るんだ
得意なことが一つもなくても
空想コンテストで金賞を取れたらきっと誇りになる
一躍時の人になる
全国大会があったなら
優秀賞になる人も出るだろう
みんなの空想は
たわいのないものほど
篩にかけられていって
現実感を感じるものほど
生き残る
入り込める
そこにいるかのような
妙な感覚を覚えてしまったならば
あなたはソイツの虜になったんだ
毎年一人か二人
全国から集められた空想の中に
戻って来られなくなるようなものが
紛れ込む
何故かは分からないが
そういうのを作るやつは
沢山本を読んでいるんだろうな
みんなが口々に言う
多分本当は違うのに
私の空想は世に受け入れられている
描きたいところだけ描ければいいのに
インパクトなんてないから
私は空想するのが下手だ
不本意だった
あんなつまらないものを過大評価されるなんて
どうしてどうしてどうして
描きたいところだけしか描いていないせいかな
僕はいつも落ちこぼれだった
インパクトはあるけれど
それだけだって先生に言われた
現実味がない
つまらない
味気ない
こっちはこんなに面白くしようと努力しているのに
不本意だった
僕の空想がこんなに過小評価されるなんて
先生は言う
「より良い空想を作るには心を豊かにすることが大切です」と
だが
心をどうやって豊かにすればいいのか
私たちは知らない
私はどうして空想をするのが上手いのか分からない
一つ 考えられるのだとしたら
現実が嫌いだから だと思う
帰ってきたら
いつも親に叱られるから
友達もいないし
現実が嫌いになった
そのうち
私は空想するのが好きになった
心が豊かなら 今頃私の家に車なんてない
ミュージック・ビデオくらいのものから
俗に言うテレビ番組一つ分まで
変にリアルな私の空想は
シリーズ化していることも珍しくはない
これだけなら良かったのに
私の空想は将来どうなるのだろう
映画やドラマになるのだろうか
実写化だけはなんとしても避けたい
先生は言う
「一つの夢が世界に広がっていくなんて素晴らしいじゃないか」
「夢で人を楽しませられるのも才能の一つだ」
私が望んだものは
こんなことじゃなかった筈なのに
取り返しのつかないところまで来てしまった
どうして……
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