第75話 チートすぎるだろ!(その5)

 ドラゴン討伐の依頼を受けているわけだが本命のドラゴンは全然出現する気配すら感じず何しに来たのかさっぱり分からず魔物を討伐しているだけで誠は神様から底上げしてもらっているだけ全く魔力が消耗している感じすらしない。


 ジョセフは誠の後処理をしているが『スパーク』を使いすぎたからか息遣いもかなり荒くなってしまった。こんな醜態をジョセフ自身晒したくはなかったのだがこんなに連続で戦う羽目になるなんて思ってもいなかったからだ。


 佐藤夏樹達は唖然とした様子でつっ立っているだけでかなり退屈そうにしていたがジョセフの息遣いを見て「変わってやろうか?」とジョセフの方へと駆け付けジョセフに声をかける。


 「すまない……俺がもっと魔力量が多いならよかったのだが佐藤夏樹、やれるのか?」


 「俺だってやれるさ。だからジョセフはリサとイチャイチャしときなよ」


 佐藤夏樹はジョセフに皮肉を言い誠の方へと向かいバトンタッチすることになった。日本でヒキニートしていたとは言え細身ではありながらそれなりに筋肉質ではあるから簡単には死ぬことはないだろうとジョセフは引き継ぎをしてもらう。


 「マリー、もし佐藤夏樹がやばそうだったら支援してやってくれないか?」


 ジョセフはマリーに小声で指示を出しマリーはそれを快く引き受けてくれた。(簡単に死なせはせん!)その思いからなのかジョセフは佐藤夏樹に対しては少し過保護な一面が出てしまう。


 期待していないわけではないが異世界生活歴の佐藤夏樹よりも長い先輩としてはジョセフは後輩のことを心配するのは妥当な判断だと思っていた。


 そうこうしているとダンジョンのようなところまで来ていおりこれは大丈夫なのかと不安を感じつつもマリーと誠がいるから死ぬことはないだろうが慎重に行くしかないと思った。ジョセフの魔力は消耗した状態でリサに回復してもらっているとはいえ完全に魔力と体力が回復している毛ではなかった。ここでドラゴンと遭遇してジョセフが使える魔法で一番火力のある『パープルサンダー』を使えば吐血だけでは済まないため気を緩めることができずにいた。


 「神よ、我らに聖なる灯りを与えてくれたまえ『フラッシュ』!」


 ダンジョンだからなのか、周囲はかなり暗く魔物に襲われる可能性もあり素早く動くのはかなり困難だ。そう思っていた矢先にマリーが気遣ってくれたのか光属性魔法『フラッシュ』を発動。


 「マリー、俺の代わりに『フラッシュ』を?」


 「ジョセフ君どうせドラゴンを戦うってなったら絶対『パープルサンダー』使う気でいたでしょ?ついでだからあたしの魔法で魔力回復しとくわよ。……『マジックヒール』」


 マリーが『マジックヒール』なるまた新しい魔法をジョセフに発動し、さっきまで魔法を使いすぎて消耗しきっていた魔力は嘘みたいに回復しており、これなら『パープルサンダー』を一度くらい使っても吐血しないで済むと確信することができた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る