第10話 遺跡調査
最近発見された遺跡の調査をするために街を出て2日が経ち、馬車で地図に記された進路を辿るも一向に遺跡らしきものが見つからない。
「おかしいな、確かに地図ではもう着いていい頃なのだが…」
「もしかして道を間違えたとかはないのか?テレサ」
「そんなはずはない、地図ではこの通りほら、左側に川があるではないか!」
どうやら道に迷ってしまったのか地図を再度確認するのだがGPSを使って作った地図じゃないからなのか正確な距離とかが記されてないのだろう、ジョセフは遺跡まで距離はまだまだあるってことだと言うことに気付いた。
「遺跡はもう少し先の方向にあると分かった」
「ジョセフ様、どうしてそう言い切れるのですか?」
「まずこの遺跡への地図は発見した人が急造したものであるため明確な距離までは記されていないんだ、地図などを作る際は測量などをするのだがこの地図は素人が作ってるっぽいし」
「ふ~ん、なるほどね、それでもっと先にあるって言ったんだ、ジョセフも結構頼りになるじゃん」
ジンジャーは地図の相違点に関してうんうんと納得した様子で、テレサも訝しそうにしてはいるものの納得していた。
馬車を地図よりも全身させるとなんと、遺跡らしき場所に無事到着することができた。
遺跡は古代エジプトのピラミッドにも似た建物でありこんなものが今までどうして発見されることがなかったのか不思議でたまらなかった。
ジョセフ達は馬車を降り始め、遺跡の調査へと入り口に向かおうとするとジンジャーが何か見つけたようだ。
「ねえ、何か文字みたいなのが書いてあるわよ」
(ん~っ、どれどれ、なんて書いてあるかな?異世界転移者の家って日本語で書かれているな、ということは神様により転移させられた日本人がチート能力か何かでこの建物を建造したってことか…神様は一体どれほどの日本人を異世界に送り込んでるんだよ)ジョセフは神様に対して唖然としてしまい突っ込むことすらめんどくさく感じていた。
「どうやらここは人が昔住んでいたようだな」
「えっ、ジョセフ君文字読めるの?」
「多分、なんとなくだよ…」
マリーはジョセフがこの世界の人間でないことに気付き始めたのかは分からないがとにかく違う世界からやってきましたなんて言っても信じてもらえるかは分からないけど少なくともリサの能力を使えばそんなのあっさりと見抜かれてしまうだろうからあまり詮索されないように詳しくは言わない方がよさそうだとジョセフは用心していた。
入口に入ってみるとかなり老朽化が進んでいるせいか歩くたびに階段の軋みが激しくてとても耳障りに感じる。
階段降り終え、やっと平面の床にたどり着き目の前には大きな扉が閉じた状態で発見。
ジョセフ達は扉を開けようと押したり引っ張ったりするもまるでびくともしなかった。
「仕方ないわね、あたしの魔法で鍵でも開けますか」
「まっ、まさか破壊するつもりか?マリー!」
「もう、何心配してるの?別に壊したりはしないわよ『アンロック』」
扉の中からガシャン!と大きな音が鳴り響き扉は自然に開いた。
マリーは涼しげな顔で鍵を開けてしまったけどこんなことして大丈夫なのかジョセフは疑問に思いこれから何事も起きませんように少しビクビクとした様子で前へ進んだ。
ジョセフは決して怖いからとかではなく、もしも仲間に危害が加わったらと考えただけでも気が動転しそうになるくらい嫌な気配を感じたからだ。
「マリー、詮索魔法って人や魔物を探す以外に物を探すことってできるのか?」
「勿論できるけどやっていいの?」
「ああ、頼む…」
ジョセフはそう言いマリー詮索魔法を発動、どうやら危険な物質は無いようだったのでこのまま調査を継続することにした。
「みんな、大昔の本が見つかったぞ!」
テレサが大声で他のみんなを呼び、本に付着している埃を手ではらいながらページをめくった。
「さっきジンジャーが見つけた似たような文字で書かれていて読めない…」
「これってこう書いてあるんじゃない?『私がここにラボを建造して1日目、私はあることを発見した。どうやらこの世界では存在するはずもない人物等が紛れて生活しているのだと、私以外にもいたのか…神から特別な力を授かった人間が…』」
(どういうことだ!?マリーが読み上げた文章は全て本当に書かれていることだ、でも何でマリーが日本語を読解することができるんだ?まさかマリーも…いや、まさかな)ジョセフはマリーが日本語を知っていることに驚愕を隠せずにいた。
「マリーさん凄いです!どうしてその文字の意味が分かったのですか?」
よくぞ聞いたリサ!とジョセフは後ろからグッと自分の拳を握る。
「これは私に魔法を教えてくれた師匠が教えてくれたの、私が全属性魔法が使用できるのは師匠以外に私だったから色々と教えてもらったよ」
マリーは包み隠さず話してくれていたがそれ以上話すことはなかった。
ジョセフはおそらくマリーに魔法を教えた人物かマリーのどちらかが日本人又はその子孫である可能性があると考えた。
本に記されていた続きの内容も気になっていたがジョセフはこのまま長居するのも安全ではないなとも感じた
その後も、手当たり次第遺跡の中を調査したが遺跡に関する手がかりを見つけることは出来なかった。
ジョセフ達は遺跡にあった本を持って馬車に乗ることにした。
「あの遺跡、一体何のために作られたんだろうねぇ…ジョセフ君」
「そんなの俺が知っているとでも…」
「でもこれで証明されたわね、別の世界から来た人間がいるってのも」
ジョセフは一瞬ビクッ!と背中が凍りそうになりかなり動揺してしまった。
「別世界の人間か…そんなものがこの世界にいたとしたらどんなことになるだろうな…」
ジョセフはマリーにそれ以上言うことはなかった。
それからマリーもジョセフに質問することはなかった。
マリーはジョセフが別の世界から来た人間であることを悟っているとに薄々感づいていたからだ。
(今は何も言わないでおこう、俺が違う世界から来た人間であることを……)ジョセフはマリーにいつか別の世界から来た人間であることを明かそうと思っていた。
あの本に書かれていた文字をハッキリと読むことができることを。
「今はまだな…まだ早すぎるから」
ジョセフはブツブツと小声で呟いていた。
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