第8話 鉱山

 今回のクエストはジャスミンと一緒に鉱山へ向かい武具を作るための素材集めだがこの鉱山は足元がガタガタで踏み外しやすい。


大人数で鉱石を探すのはかなり危険であり、ジョセフとジャスミン、ジンジャーの3人で鉱山を登ることにした。


 「ジョセフ様、私も一緒に行きたいです!」


 「リサはマリー達と一緒に馬車の中で待機してほしい、もしも王女様の身に何かあったら君のご両親に申し訳が立たない」


 「私達は婚約者なのにどうして別行動なのか納得できないです!」


 ジョセフは待機してほしい理由をリサに説明するもふくれ顔で駄々をこねており困ったものだ。


 「リサ、ジョセフの言う通り一国の王女に何かあってはいけません、私からもお願いします」


 「ジョセフ様と同じでテレサも私が王女だからって特別扱いするんですか?」


 テレサはリサの反論に何も言えずに黙り込んでしまった。


 「しょうがないなぁ…でも危ないと思ったらすぐにテレサ達のところに戻るんだぞ」


 リサは顔をパーッと微笑ませ「やったー」と両手を上げた。


 (ホント、13歳の王女様とはいえまだ子供だな、こんな華奢な体した女の子を危険に晒すのは躊躇ってしまうがまぁ、ジャスミンやジンジャーというお姉様達とも一緒に同行するわけだからなんとかなるだろう)とジョセフは安心していた。


 ジョセフ達は馬車で待機しているテレサを待機させ、鉱山へ登り始めた。


 鉱山はゴツゴツと踏み外せばすぐにでも落っこちそうなくらい危険で足を踏み外せば遭難することは間違いなしで一人で行けば遭難してしまいそうだった。


 ここは何度も登山経験のあるジャスミンに任せて必要な素材を集めて陸奥守吉行を複製してもらわなければとジョセフはジャスミンに任せていた。


 「今回必要な鉱石はもう少し上るんだけどあたし実はこれ以上登ったことがないからどんなことが起きるのか分からないけど大丈夫かしら?」


 「まぁ、別に何とかなるんじゃない?私は勿論ついていくよ」


 ジャスミンもどうやら今回ジョセフ達にクエスト依頼した理由を言い、ジンジャーはいつも通りニコニコとしながら了承したけどもし遭難してもマリーの詮索魔法で探してもらえるから安心して登ることにした。


 あれから鉱山を軽く150~200メートル程登ったがまだまだ先なのか気になったジョセフはジャスミンに「少し休憩しないか?」と尋ねた。


 「そうね、さっきから歩きっぱなしだしここで体力を温存しておくのも悪くないわね」


 5~10分ばかし休憩をして登山を再開。


 それからも登っては休憩を繰り返し、とうとう到着したのかジャスミンは急に立ち止まった。


 「ここまで登れば素材も沢山取れるはずだわ、みんな、ピッケルを出して」


 ジャスミンの指示でピッケルを大きなカバンから取り出した。


 「この辺りには普通の鉄とは違う鉱石が沢山あるからそれを袋に入れられるだけ採取して」


 早速ジョセフ達は作業を開始し、普通の鉄とは違う鉱石を採取し袋の中に入れていた。


 ある程度鉱石を採取し終えた後、ジョセフ達は鉱山を下山することにした。


 「ジョセフ、今回は素材集め手伝ってくれてありがとう、おかげで速く取ることがわ」


 「金貨20枚で刀を作ってもらいたいから手伝っただけだよ…」


 そんな会話をジョセフはジャスミンとしながら慎重に下山していった。


 「もうっ、ジョセフ様ったら、私という婚約者がいながら婚約してない女の人とイチャイチャと会話なんかして破廉恥ですわ…」


 「リサッチ嫉妬しすぎぃ〜、一夫多妻が認められてるのに独占欲強ぉ~い」


 「ムムムっ、ジンジャーさん、からかわないでください!」


 なんだか後ろにいるリサから凄く殺意丸出しの視線で見られているが他の女子と会話しているのがそんなに気に入らないのか、かなり不服そうでそれを隣で見ていたジンジャーがリサのことをいじり始めた。


 (やべぇ、リサがこんなに独占欲の強い女の子だなんて知らなかったよ、これはリサが大きくなったら俺束縛されそうで怖い…ヤンデレというかメンヘラ要素日増しに強くなってるよ……)ジョセフはリサの強すぎる依存性に不安を感じ浮気だけはしないよう肝に銘じた。


 鉱山を無事下山し終えた頃にはもう日が暮れており、待機していたテレサはジョセフ達の帰りをしっかりと待っててくれていた。


 「無事に帰って来たんじゃん、信じてたよ、ジョセフ君達が戻ってくれるのを」


 「ありがとう、鉱石は無事に採取できたよ」


 マリーはニコニコとしながらジョセフに抱きついてきた。


 マリーの胸がジョセフの体に当たっており、ジョセフはリサが眉間にしわ作って顔怒ってる様子を見て慌ててマリーを引き離そうとする。


 「ちょっ、いきなり抱きつくなって、俺はそう言うのは苦手なんだよ」


 「とか言って満更でもないんでしょ?リサちゃんがいるからってかしこまっちゃって」


 マリーはニヤニヤとジョセフをからかいだした。


 「ジョセフ様は私のなんですから誘惑しないでください!」


 リサは嫉妬した様子でジョセフの腕に抱きつきながらマリーに威嚇し始めた。


 (それにしてもやっぱりリサの胸って歳のせいだからなのかやっぱりマリーと比べちゃうと小さいんだよなぁ、マリーの胸はとても柔らかく婚約者ならもっと堪能したいところだが一歩間違えたら強姦未遂の冤罪をかけられ制裁を受けそうだな……)ジョセフは心の中で恐怖していた。


 「ねえ、ジョセフ様、さっきマリーさんの胸と私の比較していたでしょう?」


 そうだった、リサは相手の真実を見抜いたりと心を読める能力があったことをすっかり忘れていた。


 「い、いや…別に…」


 「私だってあと何年かでジョセフ様を納得させられる大きさになりますもん!」


 「だから胸の話なんてしてないだろ…」


 ジョセフは言い訳がましくも話を逸らせようとしているが全く聞く耳持たずだ。


 (俺のヒロインはどうしてこうキャラの濃ゆいのばかりなんだよ、日本にいた頃毎日ハーレム生活充実出来たらなんて思ってたあの頃が懐かしいよ…)そんな風にジョセフは日本にいた頃を懐かしむ。

 

 「拝啓昔の俺、君は近いうちに神様の手違いで異世界に転移させられますけどハーレム生活に期待しないで下さい、色々と苦労しますので…」


 ジョセフは小声で過去の自分に異世界に希望を抱くなと言いたそうに呟いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る