第一章 転移者とワトソン王国

第1話 異世界に転移していきなり少女と婚約?

 異世界転移又は転生、それは最近アニメやラノベが好きなオタク達が一度は妄想したことがあるであろう夢物語ドリームファンタジー、転移、転生した日本人が異世界で生活する際に神様から特別なチート能力を授かり、俺TUEEEと何の努力もせずに可愛い女の子とウハウハワイワイと誰もが羨むハーレム生活を充実に送り、転移又は転生者は元の世界に帰りたいと考える気持ちはほぼ皆無に等しい。


 何の苦労もなしにチートで無双してハーレムできる楽な思いを一度覚えたら麻薬や煙草、酒に依存してしまい辞められなくなるのと同じだ。


「俺はいつになったらこんな地獄のような毎日から抜け出せるんだ?」


綾野丈は朝起きた後、いつもそのことばかり考えていた。


 綾野丈は中学の頃に何の努力もせずに楽した人生を送り自分のことを馬鹿にしてくるヤンキー達を見返したいとも思い、この世界の全ての人間が敵に見えてしまう程の人間不信陥っていたのだ。


 不登校になった丈は義妹の従兄弟の家に通い体を鍛えたりバンドを組んでギターの練習をしたりと自分自身も不良、昭和時代で言うところのツッパリとなる。当然、喧嘩を売るヤンキー達を必要以上にぶちのめし病院送りにしたりしていた。その中にはプロの格闘家を含む十人相手を無傷で倒したなんてこともあり、真面目な生徒達の意見を一切聞かずヤンキー達を優遇する最低教師の根性を叩きのめしたり、ネットでそんなのを自慢しようものなら「粋がってんじゃねえ」とか色々と周りの人間から非難受けたりとされるようなことを平然とやってのけていたけどそんな丈にも一生に一度しかない学校生活をよりよくする為に行った行動なのに周囲の人間は皆、丈のことを後ろ指さしながら誰も近づこうとはしなかった。しかし、唯一坂本仁という丈の幼馴染だけは丈のことを見捨てずに理解してくれていた。あとは妹の従兄弟とその親戚でもある外国人二人と学校をさぼってはバンドの練習をしていた。


 西暦2013年4月、丈は高校生となりスクールカーストなるものを排除する為いわゆる陽キャと呼ばれている陰キャ達を虐めているカースト上位の人間を徹底的にぶちのめし陽キャ女子に関しても同様、丈のことを侮辱するようであれば容赦はしなかった。


 それが原因で2~3年の先輩に集団で喧嘩を売られたりとしたためジョニーやジョナサンと丈の3人で多くても30人程度に囲まれあの手この手で容赦なく先輩達を蹂躙し、「許してください」と蹲りながら謝ったとしても丈達は制裁を加えていた。この手の人間って言うのはどのみち謝ったところで虐めを辞めることはない、それなら恐怖というものを与えおとなしく生きる道を示す必要があるからだ。


 その後は校内で粋がっていた陽キャ達は一人残らず心を入れ替えたかのように校舎などを校庭を隅々まで掃除をしたりと教師達も青ざめていたのだ。


 丈のことをよく思っていなかった教師もいたからなのか教師からの虐めというよりは幼稚な嫌がらせを受けたりとしたため丈は停学、退学にならない程度の制裁を加える。その教師は生活指導をしておりロリコンでもあったため成績や態度の悪い女子生徒を脅迫まがいに性行為を要求していたりとしていたためその証拠を突き止めるべく女子が生活指導の教師に呼び出されたと知ったときちゃんと許可を得て盗聴器とボイスレコーダーをカバンの中に仕込んだ。


 女子は指導室へと呼び出され当然生活指導の教師は停学になりたくなければ「服を脱げ!」と要求をした。それだけでも立派な犯罪になるのだが丈は他にも何か追及するだろうと考え教師を手の中で泳がせ最後には「いいか?お前のような女は黙って俺に体を預ければいいんだよ」といかにも性行為を求めていたのだ。


 勿論女子は「嫌です!」と断るのだが教師は野獣の目をギラつかせ無理やり服を脱がそうとしたためこれはまずいと思い丈は指導室の扉を強く開ける。


 ガタンと大きな音が鳴ったからなのか教師はビクつきながらも「ちゃんとノックをせんかい!」と怒号をあげる。当然丈はそんなのはちっとも怖くはなかったのだ。人の感情などとうに捨てているのだから。


 「今の会話の内容は全て録音しているからこれを他の教師や生徒、教育委員会に知られたらどうなるか分かっていますよね?」


 丈は低く唸るような声で教師に言う。教師は「そんな馬鹿な……お前のような不良の言うことなんか誰が信じるんだ?」と冷や汗をかきながら誤魔化そうとする。


 だがそんなの丈には通用しない。そう思った丈は女子のカバンから盗聴器とボイスレコーダーを取り出し録音した会話の内容を流しこれでもかと言わんばかりに脅迫まがいに証明した。


 「先生、俺だって大事にはしたくないんだ。だからさ、これをバラされたくなかったらそのまま立ち去った方がいいですよ?」


 「くそっ、お前からそれを奪えばいいだけのこと!」


 教師は力づくでもと丈の方へと向かいボイスレコーダーを奪おうと飛び込み、血ビラ前にスタンバイしていたジョージにパスをしジョージはそのまま走り去る。教師は言葉を失いストンと膝から落ちるように四つん這いになり低い声で唸る。


 ジョージの行き先は校長室で校長にボイスレコーダーを渡しそれを知った校長は激怒し後日、その教師は懲戒解雇処分を下される。


 丈はいつものように学校に通い、家に帰り飯食って風呂に入り、好きなアニメや漫画、ラノベを読んでベッドに入り寝る、それから丈は眠れずにスマホゲームをプレイして眠くなったらゲームを辞めてそのまま眠りに就く、そんな生活が毎日続くのかと考えるととてもじゃないけど退屈すぎて辛い。丈は「人生ってこんな感じになんとなく毎日を過ごしてこのまま死ぬのか」と呟き、息苦しさを感じていた。


 そう、心が満たされることはなかったのだ。


 「やっぱりアニメとかラノベみたいには上手くはいかないか…」


 丈はそんなことを考えながらこの世界に絶望をしていた。エミリーは日本にはいないしこんな世界にいて何の意味があるのかも理解できず丈はただつまらない毎日だけを送り歳をとる、そんな生き方は丈には耐えられない。


 小学校の頃唯一丈が本気で恋をしたエミリーはとても心優しい美少女で彼女と一緒にいるときはいつも心が和み、彼女がイギリスに帰らなければいけないと知った時、お互いに愛の告白をし終え、最後にはまた日本で会うことを約束をしたのだが丈はそれからエミリーと再会することはなかったのだ。


 エミリーの住んでいるイギリスの住所を教えてもらえば手紙でやり取りができたのにと中学の頃から後悔しており、丈はかなり心が荒み、人を愛する心は完全に消失していた。


 そうこうしているうちに四月から五月へと変わっていった。


 「 時の流れというのは残酷なものだよ、本当に……」


 丈の高校デビューは校内の不良と悪徳教師を必要以上にぶちのめしたことでスクールカーストは実質無くなったとされたがその咎を受けることとなった丈は他の生徒と教師から異端児認定されることとなり、PTAからも危険視されることとなった。


 (完全に失敗した……俺の人生ってのは何でこう貧乏くじばっかり引くんだ?この世界に神がいるなら少しくらいはラノベ主人公みたいなカッコいい思いさせてくれてもいいじゃんかよ……)なんてことをいつも思っていた。


 高校に入学して1ヶ月程しか経ってないけどこんな生活がいつまで続くのだろうか?そんなことを考えていると眠気が出てそのまま丈は眠りに就いた。


 「もう朝なのかな?」目が覚めた時、丈は今まで見たことのない光景を目の当たりにしていた。


 「んんっ、なんか眩しいなぁ…」


 「あっ、間違えて違う人間召喚しちゃった…神としてあるまじき行為じゃな、今更元の世界に戻すことは出来ないからお主に特別な力を授けるとしよう」


 (何なんだこの老人は?いったい何をわけの分からないことを言っているんだ?しかも間違えてここに呼び出したって神様としての自覚はあるのか?)丈はなんとずぼらな神様なんだと思った。


 「えっとあなたは…」


 「おっと自己紹介を忘れておったの、わしはこの天界を仕切っておる神じゃよ」


 「俺は綾野丈だ、特別な力なんていらないし俺には必要ないよ、それにここはどこなんですか?」


 「ここは神だけが踏み入れることができる神界じゃよ。話を戻すとじゃな、お前がこれから行くことになる世界では…」


 「そんな御託はいいからさ、それならそれで向こうの世界の言語が分からなきゃ駄目だろうから読み書きができるようにしてくれるのとあとは…」


 「結構せっかちじゃのぅ…それであとは?」


 「革ジャンに帽子、サングラス、ジーパン、ブーツが欲しい」


 (正直に言うと特別な力なんて授かったらここは魔王を討伐しろとか言われたり、特別な力を得ることで自分の力を過信して己の心が腐るのが嫌だった。そんなのはラノベやアニメの世界だけで充分だよ)それが異世界転移、転生あるあるパターンだと分かっていたからこそ。


 丈は人と一緒にされるのが嫌だったこともその理由の一つだからだ。


 「お前さんも見た目の割には普通のものを欲しがるんじゃのぅ…分かった、お主がそれでいいというのであればそうするぞ」


 「ええ、別に特別な力なんて持ってても後で面倒だし……それに、俺みたいなのが力もったら何しでかすか分からないでしょ?」


 「わしはてっきり『間違えて召喚なんかしやがって!』と怒鳴りつけてくるのかと思ったけど…」


 「正直怒鳴る元気なんて今の俺にはないですよ。めんどくさいし」


 丈はここで怒鳴ったとしてもどのみち元いた世界に戻れるわけないのであればする必要性もないと諦めていた。


 色々と胡散臭い神様は丈の言動にかなり呆れながら異世界転移の準備を行い早速俺は神様に要求した衣服類に着替え神様は最後に丈にこう言う。


 「わしも、神になってからお主のような人間と出会ったのは初めてじゃ、向こうの世界は一夫多妻が認められているから沢山の女性と結婚するがいい」


 神様は丈にそう言い残し、丈は光に包まれ異世界へと転移された。


 目の前には異世界転移あるあるの展開で、丈は森の中でボーっとつっ立っていたのだ。


 取り敢えず丈はこの世界の言語を読み書き出来るようになったこともあり、早く駆け出しの街みたいな所を見つけて生活するために金を稼がなければと思い、初めての異世界には不安と戸惑いを感じながら自分が何処へ向かってるのかも分からず我武者羅にただ走り続けた。


 「ぐわぁ~~~!」


 (これは人間の叫び声?何か大変な事件にでも巻き込まれているのだろうか?)


 断末魔のある方へと丈は駆け付け、なんとそこには異世界ファンタジーあるあるの光景に遭遇し、王女様を護衛している騎士二人の内一人が重傷を負っており、ゴブリンの群れに悪戦苦闘していた。


 ゴブリンの群れは10体で騎士達は実戦経験が皆無なのがまる分かりで、戦闘態勢もめちゃくちゃでこののままだと王女様が危なくて放っておけない。


 このままでは確実に全滅するだろうと思ったからかなのか、丈は地面に落ちているゴブリンが使用していたであろう古びた剣を拾い、ゴブリン10体に立ち向かった。


 ヤンキー10人相手しても無傷で勝てた丈だけど、それは素手での勝負での話であって相手はゴブリンで武器も持っている。屈強な体をした騎士が苦戦しているようでは丈みたいな人殺しの経験のない未成年がまともに戦ったところで勝てるとは限らない。


 魔物との戦闘経験のない丈からしたらゴブリンの強さ自体が未知数であり、ゲームや漫画のように弱いとは限らないのだ。


 (正直武器を持って戦ったことのない俺が勝てるのか?否!勝てる勝てないとかじゃないんだよ、誰かがあの騎士達の代わりにあのゴブリン達を倒さなきゃここ以外にも多くの犠牲者が出てしまう、そうなる前に俺がなんとかやるしかないじゃないか、今日ここで死ぬかもしれないってのに正直俺ってバカなのかな?何で見ず知らずの赤の他人を守るために命を張って剣を拾いゴブリン達をバサバサと斬り倒しているんだ?違う、そうじゃない、俺が日本にいた頃ヤンキー共や悪徳教師達をブチのめしていたのは俺の心が破壊を望んでいるとか、周囲が俺のことを見下しているからとかそんなんじゃない、どこかに正義感というものが俺の中にあったからだ)


 丈は無我夢中になった状態でゴブリン10体全てを討伐した後、ゴブリンにいつの間にか右手の甲を斬り付けられており、ゴブリンが所持していた剣にはどうやら毒が塗られていたらしく、傷口から毒が蔓延し丈は意識を失いその場で倒れ込んでしまった。


 「くそっ、やばい!俺このまま死ぬのか?全く、ここで死ぬようじゃ読み書きができるようになっても話にならんな…」


 「誰かぁ!あちらにいる女の人みたいに長い金髪の人を…」


 さっきの王女様の声だろうか?途中までしか聞き取れなかった丈は自分を心配をしてくれていることだけは察することができた。


 意識は朦朧とし、目が覚めると丈はベッドで寝込んでいたみたいだ。


 「そうか、俺はゴブリンの持ってた剣に塗られた毒の影響で気を失ってそこからの記憶がないな」


 丈の右手の甲の切り傷も消えており、この世界の医療技術は凄いなと感心していた。


 「ん?それと俺の帽子とサングラスがないな、どこいったんだ?」


 丈は慌てて起き上がり辺りを探すと枕の横に置いてありすぐさま着用すると扉がひとりでに開いた。


 「やっと目を覚まされたようですね」


 優しい声で丈に話しかける声が聴こえた。


 (此処は王女様の住んでいる宮廷か何かかな?どうやら俺はゴブリンとの戦いで気を失っていたようだけど運よく一命を取り留めたようだな)


 「先程は私達の命をお救いありがとうございました、私はワトソン王国のリサ・ワトソンと申します」


 「ジョセフ・ジョーンズだ、それでここは一体どこなのか教えてくれないか?」


 丈は日本名の綾野丈ではなく咄嗟に本名を名乗ってしまったのだ。


 実のところ、丈は日本人の血が一滴も流れておらず本来ならアメリカ人としての人生を送る筈だったのだが、両親は丈が産まれてからすぐに交通事故か何かで他界しており両親の日本人の友人である綾野家の養子になり、日本人として生きることを決心したのだ。


 「ここは私が住んでいるお城の客人用の寝室です。助けてくれたお礼がしたいのですが一緒にお父様のいる王室に来てもらってもいいですか?」


 (お礼?謝礼金でもくれるのかな?取り敢えず生活するうえで金は必要だしそれさえ手に入れれば

異世界転移者あるあるの冒険者になるための資金が調達できる)ジョセフの頭の中で想像を膨らませ

ていた。


 「お父様、ゴブリンから私を助けてくださったジョセフ様をお連れしました」


 「我が愛娘リサよ、無事だったか!」


 「はい、いきなりではありますがお父様にお伝えしたいことがあります」


 「うむ、わしに伝えたいこととは何かな?」


 「ゴブリンの群れから私の命を救って下さったジョセフ様と結婚したいと考えております」


 (えっ?ちょっと何言ってるかさっぱり分からないんだけど、だっていきなりこの人と結婚しますとか急すぎじゃない)ジョセフはいきなりの展開に慌てだす。


 「あのぉ、いきなり結婚させてくれって話になってるけど俺はまだ15歳だし、王族の血筋でもない人間と結婚て大丈夫なのかな?」


 「えっ?」


 リサは声を出して驚いたが、ジョセフの年齢は15歳とはいえ日本にいた頃の冬には16歳になるのだがそれでも早すぎる。


 「娘は相手の心を読んだり真実を見抜くことができてな、これまでリサに求婚を求めた男達の嘘を見抜いては結婚を拒否し続けていたが我が娘リサがやっと選んだ男性なら大丈夫じゃろう」


 「お父様はジョセフ様との結婚を許してくださるのですね」


 「うむ、男の誓いに訂正はないのじゃ」


 ( チィッ、なんて親子だよ、このままだと全然話にならないから俺は自分のいた国では男性は18歳以上にならないと結婚できない……)ジョセフは冒険者になるため王女様と結婚はできないと旨を伝えるも……


 「なるほど、文化の違いを気にしているということか…しかしこの国ではリサくらいの年頃にもなればどこも婚約するところが殆どじゃよ」


 全然ジョセフの話聞いておらず、王様は娘のリサと結婚させる気満々である。


 中世ヨーロッパ風の世界観て感じであるため13〜15歳くらいで結婚してもおかしくないのは分かっているがジョセフのいた世界での常識で考えたらかなり倫理がなさすぎると感じたのだろう。


 (つか13歳の女の子に求婚求める男も男でロリコンなのか?政略結婚だとしても流石に若すぎるだろ!)


 「リサがゴブリンに命を張って必死に立ち向かった君に懐いてしまったようだし一緒に旅に連れて行ってくれ」


 王様はジョセフに深々と頭を下げたためここで断るのは流石に失礼だと感じ、ジョセフはリサの婚約者兼冒険者仲間になったのだ。


 「ありがとうございます!」


 リサは笑みを浮かべジョセフに勢いよく抱きついた。


 (おいおい王様、俺が18歳になったとしてもお宅の娘さんは15歳だぞ、今現在の年齢とか状況考えたら日本だと間違いなくロリコン認定されて社会的制裁を受けることになるぞ!とは言ってもこの世界は日本と違って一夫多妻が認められているから正直複雑な気分だよ……)


 リサがジョセフと結婚したいと思った理由が典型的な助けられたからだけではなく、ゴブリンに殺されかけた時に気を失ったジョセフの心を読み取り、そこからとても優しく正義感に満ち溢れているものを感じたらしい。


 (そう思ってくれるのは嬉しいのだけどもう少し婚約する相手は慎重に考えて欲しいものだな特殊能力というものは怖いものだよ本当に……)


 「ジョセフ様って呼んでもいいかしら?」


 「お好きにどうぞ、それで俺は貴方のことなんて呼べばよろしいですかな、王女様?」


 「もう、私達婚約しているのですからリサって呼んでください!あと敬語も辞めてください!」


 「分かった、リサって呼ばせてもらうよ…て、胸張って婚約者という言葉を公共の場で言うのは少し遠慮していただきい…」


 ジョセフは16歳の自分が13歳の女の子を婚約者にしたのがバレたらと考えるだけでぞっとするからだ。


 「ジョセフ様はやっぱり私のことが…お嫌いですか?」


 リサは心を読み取ったのか急に涙ぐんでしまった。


 「嫌いではないけどいくら何でもまだ早いんじゃないかと思っただけで…」


 「うぅ、私っ……ジョセフ様に相応しい女性になりますので私のこと、嫌いにならないでください」


 (はあ~っ、こんなに泣かれちゃうとこっちが泣かせたみたいに思われそうだから勘弁してよな)内心ジョセフはため息を吐きながら肩を竦める。


 「分かった分かった…俺もリサにそれ相応の男になれるようにするからそんなに泣かないで」


 「ジョセフ様、大好きです!」


 ジョセフは声をかけると泣き止み、リサは急にジョセフの腕に抱きつき大声で叫んだ。

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