第37話 ピジョーの「しお」
戻らないピジョーを心配しながらサマンサとはったんは、相変わらずあひるランドにあるピジョーのアパートで策をねっていた。
「なんだろう、これは」
「えっ?」とはったんはサマンサが手にしている箱を見た。
サマンサはピジョーが大切にしていた塩の入った箱を見つけたのだ。
ピジョーは、村の子どもらのイタズラで羽根に火をつけられて村を追われ、泣きながら多摩の浦を渡った。そのときの涙が固まってできた塩だった。流したなみだの分だけ塩はあった。
あひるランドで、ドバトであるがゆえに、理由なく
「塩のようだね」
「ピジョーが使っていたものだろう」
「しかし、ピジョーは上手く村に着いただろうか」
心配そうにはったんは言った。
「大丈夫だよ、きっと。でもあの『計画書』の内容が村人に知られたら、大変なことになるだろうな。しかし伝えなければ村がやられてしまう。柿太郎やおばあさんたちはいま、どうしているだろうか・・・」
サマンサもまた心細く心配な様子で答えた。
(つづく)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます