ひとりごと

一子

第4話

空が段々と明るくなってきた

好きな音楽を聴きながら

あなたの事を思い出す

あの頃の私の気持ちは本当に、本物だった

真っ直ぐで、純粋で、とても誠実なものであったと断言出来る

電車のホームでの会話

何よりも暖かい、幸せな言葉を与えられ

私の毒も、トゲも、壁も、氷も、全てが溶けて、素直な本心しか残らなくなってしまった

あなたはプロのマッサージ師だった

鍵を破るプロだった

そしてあなたはカリスマ的な特別な雰囲気を出し

才能をひけらかした

未熟な精神、使い古した無駄に難しい言葉

言葉を弄んで他人を惑わせる

騙す

甘い言葉に鋭い毒のトゲが付いた言葉

アメとムチ

あなたは人の気持ちなど考えなかった

本物のサイコパス

才能溢れるサイコパス

どれほど傷ついても離れられない

自分の心が分からない

私の、あなたへの想いは

一体どんなものなのだろう

誰よりも愛おしくて

誰よりも憎み嫌っていて

誰よりも特別な存在

でも誰よりも私を傷つける

あなたは誰、何者なの

神が与えた試練なのか、それとも幸福なのか不幸なのか

あなたと私のこれからは分からない

運命なんて存在しない

未来は創っていくものだと私は思っている

私と出会ってあなたは変わった?

あなたと出会って私は変わった

喜びも悲しみも、幸福も寂しさも絶望も

本当に本物の強力なそれらを教えてくれたのはあなただった

私はもう昔とは変わってしまった

全てが怖くて仕方ない

でも、自分に正直で

とても好き嫌いが激しくて

お酒は大好きで

酔う時間がなければ人間は生きて行けないとさえ思う

朝起きる時楽しみなのは朝食だけで

欲しいのはあなたとの幸福と、自分を許せるだけの能力、そして美しい芸術の癒しや感動

全てが生活の一部となり、当たり前の退屈な日常として流してしまうのではなく、いつまでも当たり前の愛らしい日常であって欲しいと願い、日々かみ締め、抱きしめていたい

時々自分が不幸なのか幸福なのか分からなくなる

夜明けの空と熱い音楽が語りかける

悲しみも苦しみも癒しも、全てが幸福であり、私の人生そのものであり、誇りなのだと

それが私を私たらしめる特別な感覚、経験、感情、勲章なのだと

これは誰になんと言われようと自分にとってはきちんと価値のある宝物なのだと

自分の人生を薄っぺらいとは思いたくない

私の悩みを、苦しみを、くだらないとは思いたくない

誰もやってはくれないから、自分だけでも

泣きながらでもそれらを噛み締めて、抱きしめて、それが存在した事実をきちんと残したい、記憶に焼き付けたい

私と私の幸せに誰も口を出さないで

我儘だけど、私が苦しい時はどうか、優しい言葉で手を差し伸べて

あなたの暖かい心が、何よりも染みるの

どれだけ傷ついたとしても、治療して癒してくれるの

人はみんな魔法使いなの

その魔法を、どうか悪用しないで

人の心を弄ばないで

あなたの言葉一つで、こんなにも救われる人がいることを、どうか忘れないで

ゼウスもヴィーナスも、どんな神々も幸福なんて与えられない

他人を暖かく包み込むことが出来るのは

人の優しい気持ちだけ

人間こそか魔法使い

人間こそが特別なの

神のような特別なパワーは持っていなくても、神以上の素晴らしい力を持っているの

どうかそれを忘れないで

どうかそれを悪用しないで

そんなあなたたちが居てくれるから

私は今まで生きて来られたんです

ありがとう

あなたは私の恩人です

これからもどうか、美しいままでいて

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