今日世界が終わりました

masame

第1話 終わりは突然に

高校を卒業してから4年、定職に就くどころかロクに働きもしないで過ごして来た。

自分でもダメだという事は理解しているが運が良いのか不思議とそれでも生きて来れたのだから仕方ない。

誰だって楽に生きたいだろ?

その感情に素直に従って何が悪い?

それが俺の生き方なんだ。

誰にも文句は言わせない。


気怠い身体を無理やり起こして視界に入る景色を確認する。

知らない部屋と知らない女。

記憶は定かではないが恐らくまた昨夜の内に引っ掛けた女の部屋に泊まったのだろう。

知らない女が起き上がった俺に気づき嬉しそうな顔で話しかけてくる。


「おはよ、私用事あるからもう出るね。鍵ここに置いとくから出るときポストに入れといてー」


「うん、ごめん、もう少し寝る、、。」


「はーい、別にあたしが帰るまでいてもいいよ!」


恐らく上京したての女なんだろう。

周りにまだ友人が少ない寂しさを埋める為に俺みたいなのに引っかかる。


「もしかしたらそうするかも。気をつけて行ってらっしゃい」


できる限り良い人を装い知らない女を見送るふりをした。

ドアが閉まり足音が聞こえなくなったのを確認して、本格的に身体を起こす。


「さて、何か金になりそうな物は、、、。」

心の中でそう呟き部屋を物色する。

若い女の一人暮らし、めぼしい物は大してないが貰い物であろう箱に入ったままのブランド品と下着を数点これをネットで捌けば多少なりとも金になる。

何度かこんな事をしたが何故か一度たりとも警察の厄介になった事はない。


物を頂いたらこの部屋の住人と鉢合わせない様、15分ほど部屋に留まり部屋を出た。


目眩を覚えそうな朝日を浴びながら、今日は何処へ移動しようか考えていた。


これが俺の日常、俺の世界だった。


ドスンーー。

大きな縦揺れの地震が起きた。

その瞬間、空は先ほどまでと違い、黒とも紫とも言えない色に変わっていた。


近くから聞こえる悲鳴に視線を下ろす。

何が起きたのかすぐに理解する事は出来た。


目の前に見たことも無い異形が現れ俺に向かって大きな腕を振り下ろしている。

自分に起きている信じ難い現実はまるでスローモーションを見ているかの様だった。

次の瞬間ーー。

グシャッ。と音がなったと思ったら俺の視界は真っ暗になっていた。


あぁ、死ぬのか。


嫌に冷静に自分の死を受け止めていた。




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