貴方の事を思って行動していたのに嫌いになるのですか

一ノ瀬 彩音

第1話 行動

白崎寧々23歳は婚約者の彼のために今まで思って行動していたのに

それがどういうわけか婚約者から嫌われようとしているのです。


これではあまりにも理不尽で可哀想としか言えません。


寧々自身は本当に婚約者の彼の事を思ってした事なので嫌われる

理由が何処にも見当たりません。


そんな寧々は一人暮らしをしてて、今は家に居るのですけれど、

自室で婚約者に会いに行こうかどうかを悩んでいるのです。


悩んでても仕方がないので会いに行く事に決めると寧々は

自室から出て、玄関へ向かうと靴を履いて扉を開けて

外へ出るのですけれど、外は晴れててとても暖かいので

良い気分となっているのです。


戸締りをしっかりとしてから婚約者の彼の元へ行くのですけれど、

向かっている最中、目の前に見知っている人物がいるので

早足で行くと偶然にも婚約者の彼だったのです。


寧々は早速、声をかけるのです。


「こんにちわ」


婚約者の彼は寧々に気付いて声をかけてくるのです。


「やぁっ、こんにちわ」


「こんな所まで来てどうしたの?」


「いやな、家に居てもつまらないし、散歩しているだけだ」


「そうなんだ」


寧々と婚約者の彼が住んでいる家は徒歩で20分もあれば辿り着ける距離です。


「一緒に散歩してもいい?」


「やめてくれ」


「どうしてそんな事を言うの? 婚約者じゃないの」


「婚約者? よく言うよ、寧々の事はもう嫌いなんだ」


「嫌いってどういう事なの?」


「そのままの意味だけどな」


「あんまり酷い事を言わないで」


「すまないが嫌いなんだよ」


「嫌いだったらどうするの?」


「婚約を破棄するだけだな」


婚約者の彼は婚約を破棄すると言うのですけれど、

そんな事をされては寧々も良くないので何とか

しようと考えているようです。


「婚約を破棄する事を考え直してくれませんか?」


「嫌だと言ったらどうするんだ?」


「そ、それは…………」


「今まで俺の事を思って行動していたようだが

それが迷惑だったんだよ」


「迷惑だなんてあんまりじゃない」


「迷惑は迷惑なんだよ」


「酷い、酷いよ」


寧々はとうとうその場で両目から大粒の涙を流して泣いているのです。


寧々の泣いている姿を見ている婚約者の彼は本当に冷たい視線で

寧々の事を見ているのです。


「泣かせるなんて酷いじゃないの、あんまりよ」


「寧々が勝手に泣いているだけじゃないか」


「まだそんな事を言うのね」


寧々は婚約者である彼の事を睨みつけるとその眼光には憎しみが

宿っているような感じで今にも何かが起こりそうな感じです。


「そんなに睨みつけても婚約を破棄する事は変わりはしない」


「そうね、わかっています」


「ならなぜ睨む?」


「睨まないと気が済まないので」


「そういう事か」


寧々の心の中ではどんどん憎しみが膨れ上がっていて

本当に何かするかどうかの雰囲気です。


「くっくっくっ、婚約を破棄されるって事は寧々に

魅力がないって事だな」


「!!」


寧々は婚約者である彼の傍まで行くと言いたい事を言うのです。


「私がどういう気持ちだなんて貴方にはわからないでしょうねっ!!」


「それにね、ここまで貴方の事を思って行動してたのに

嫌いになって婚約を破棄するなんてどうかしているわ!!」


「貴方にとって幸せって何なの? 婚約はそのためにあるの、

不幸にするために婚約をするわけじゃないんですっ!!」


寧々は婚約者の彼から距離を置いて離れるのです。


「言いたい事は言えてスッキリしたのか?」


「スッキリしたわ」


「なら婚約を破棄する事も認めてくれるよな?」


「ええっ、どうぞお好きになさって」


婚約者の彼は私に対して婚約を破棄すると用件が済んだのか、

さっさと私の前から早足で姿を消すと私も自宅へ帰るのです。


自宅へ帰ると鍵を使って扉を開けると中へ入り、玄関で靴を

脱ぐと上がってそのまま自室へ行くのです。


私の恋愛はここでおしまいになるけれど、また機会があれば

恋愛は出来ると思うのです。


それまでは余計な事はせずにしっかりと次の恋愛に向けての

準備をしてから挑みたいという気持ちがあるのでした。

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貴方の事を思って行動していたのに嫌いになるのですか 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

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