その頃の御影01


「みゃー! にゃー、失敗にゃー」


 ニャルコは扉の問題に失敗し慌て飛び降りる。


 突如、その扉から、火炎放射が一直線に通過し、何とかニャルコは事なきことを得た。


「やっぱり、にゃるこも無理か」


「にゃー、だからいったじゃにゃいか、にゃーは馬鹿だから解けるはずないにゃー」


 あれから二時間以上が経過し、強制的な罰の前に、嫌がるニャルコに御影が答えるよう『お願い』したのだ。


 結果はさっきの通り、『しゃーー』と威嚇するようにピーンと耳と尻尾が立てて、ニャルコが御影に詰め寄った。


「すまないな。野生の勘で解けると思ったんだがな」


「にゃー、そんなんで解けたら、警察はいらないにゃー」



 いきり立つにゃるこを御影は宥める。三十分ぐらいでようやく冷静になってきたにゃるこを見て、これからの事について御影は話し始める。


「一応聞くが、誰か助けてくれる宛はあるのか?」


 ニャルコはへなへなと耳は垂れ、しょんぼりしていた。


「にゃーにも仲間はいるにゃー。でもここに来てクリアできる程の力の持つ者はいないにゃー」


「食料は?」


「ないにゃー、罠にかかって着の身着のままにゃー」


「罠はどういった罠だったんだ」


「そこにマタタビがあったのがいけないにゃー」


「腹は」


「減っているにゃー」


 ニャルコの腹が盛大にぐぅーと鳴り可哀想なほどだんだんと縮こまり、ほとんど猫の様に見える。


 仕方ないか


 御影はため息を吐き、とりあえず食事にしようと亜空間から食料を取り出す。


 ニャルコは猛烈な勢いで食べ始め。


「おかわりにゃー」


「あるはずないだろ、アホ猫が」


 御影はニャルコの頭にアイアンクローを、おみまいする。御影の分も食べて、なおかつおかわりも要求したのだ。厚かましいにも程があった。


「まったく、おそらく後五日以内に助けが来るはずだ」


 御影は確信をもって言えた。


 舞先生なら必ずやってくれると。


 問題は・・・・・・。


「にゃー、速いけど遅すぎるにゃー。その頃には、にゃー達死んでるにゃー」


 七日生き延びれるほどキューブは甘くない。


 御影だけだったのなら・・・・・・できるが、にゃるこの事を考えると、ペナルティがきつくなる三日後といったところだ。


 御影の予測でも、それまでに助けが来るのは難しい。


 ニャルコはここに来るための手順、ペナルティの恐ろしさを知っているから、にゃーにゃー泣いている。


 みゃがげの仲間は凄いにゃ、けどにゃー達干物ににゃるにゃ。


 ニャルコの仲間達が動いてもおそらく一ヶ月かかるだろう。御影が五日後と言ったとき、そのスピードに、ニャルコは感激し、バンザイしようとしたが、ここがどう言う所か思いだし、がっくりとする。


 にゃー、みゃかげが二日目と言ってたにゃから、にゃーの余命は三日後にゃー。にゃーはまだうら若き乙女にゃー、こんな事ならにゃーも他の子達と同じように。


 そこで、ニャルコは御影を見つめる。


 一秒・・・・・・二秒・・・・・・三秒。


「交尾するにゃー」


「盛るなバカ猫が」


 飛びついてきたニャルコを御影はかわし、とりあえずニャルコの頭を殴る。


 閑話休題。


「とりあえず後二日、四日目までは罰をかわせる自信はあるか」


「にゃー、食料と水があれば、にゃーの俊敏さは学園一にゃー」


 ニャルコは部屋を縦横無尽に駆け回る。


 いうだけあって、学園一は嘘だと思うが、プゥの全力よりもよりも三倍ほどの早さと身のこなしだった。


 しかも、全力は出しておらず、身体能力のみでだ。


 これなら四日目までは大丈夫そうだなと御影は思う。


「問題は五日目からだが、にゃるこは何時間ぐらいもつ自信はある」


 五日目のペナルティは温度の上昇。室内の温度は四〇℃になる。


「三時間で干からびるにゃー」


 ほめてもないのに、ニャルコはしょぼい胸を張り、どや顔で答える。


 仕方ない奴だなと、御影は呆れた様子でにゃるこをみ。


 こんな早い期間に、しかも他国にばれるのは遠慮したかったが・・・・・・そうもいってられないか。


 御影は決断する。ここを生き延びるために。


 ・・・・・・を使う決意を。



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