クラブ勧誘~鍛冶科編01~
魔法科の生徒を勧誘するまでは良かった。
しかし解除科と鍛冶科では、専門制と技術の流出を防ぐため飛び込みでいった御影達は門前払いをくらい、農業科は手紙を渡しただけで、後の一つ・・・・・・昼休み時間となり、御影達は学園商業区のフリーマーケットに来ていた。
「ほええ、ここに来たのは初めてですけすけど、いろんなもののもがありますね」
今日子は一つ一つ興味深そうに見ていた。
大手鍛冶クラブや外部からの委託販売が多い店売りと違い、場代さえ払えば、学生なら誰でも営業できるのはフリーマーケットの最大の魅力の一つだ。
しかし、安定し、一級品が多い店売りと違い、三流品や中古品、粗悪物が多いが、そのぶん、レア物や金の卵が埋まっている事がある。
御影の目的は、金の卵の発掘だ。
愛槍のメンテナンスやメンバーの武器防具を考えると、御影自身が作ってもいいが、それは最終手段で、できれば専任の鍛冶師が一人クラブに欲しかった。今は低レベル縛りで比較的安く武器防具を整えられるが、後々の事を考えるとそろそろ動き出そうと思っていた。
欲を言えば、『奇跡の一日』の一人、今日子が言うには、百年に一人の逸材だと噂の天才鍛冶師『御堂鈴奈』が欲しかったが、無名の新人クラブでは会うことさえできず、時点として、新入生でまだクラブにはいっていない原石を探しす事にした。
しかし早々うまくいかず、ジャング品の物、歪んだ剣に小さな穴が空いた服、一見普通に見えるが鉄をけちった粗悪武器。半数以上はそんな感じだが、中にはひかる一品や、おっと言わせる物もあったが、残念ながら既にクラブに入っており、丁寧に断られた。
奥に行くにつれ、グレードが下がり、酷い物が多かったが、その文金額も低く、同程度の店売りの物より半値以下だった。
当面は各自で用意するか、俺が作りしかないか。
そんな事を御影は考えていたとき、奥の隅の方、少し暗がりだったが、見るからにやんちゃそうな男三人が、小さな売り子の女にくってかかっていた。
私の名前はデジュ、でじ。親しい人からはでじ子って呼ばれてるでじ。
所属は鍛冶科一年E組、最底辺クラスでじ。
でじ子の父親はドワーフ、母親は人間のハーフでじ。人間以外は下に見られるこの国でもドワーフは例外でじ。
理由は簡単。ドワーフは鍛冶が得意で、有名パーティーの多くはドワーフの作品でじ。だからどの国もドワーフを冷遇する馬鹿な国はないでじよ。
でじ子の父親も有名な鍛冶師で、期待されてでじ子も入学試験に挑んだんでじが。
でじ子が作った武器を『武器に落書きをするな』って失礼しちゃうでじ。
でじ子がほんのちょっぴり先進的な武器の試作をだしたからって最下位クラスにするなんてここの鍛冶の試験官は無能でじ。
見返してやるといわんばかりに創作に取りかかっていたんでじが、上手く行かず、それでもでじ子がドワーフでじから、武器や防具はある程度売れて、そこそこ人気があったでじ。
それが変わったのは先月のことでじ。
「ねぇ、あなたの作品私に見せてやって」
百年に一人の逸材。将来人間にしてドワーフよりも優れた武器防具を作ると噂され、『奇跡の一日』の一人御堂鈴奈が声をかけてきたことから、全てが変わったでじ。
無邪気な顔して、とんだ悪魔でじ。でじ子が十年かけて開発した技術をあっさり盗まれ、でじ子の時は教員もあんだけ落書きだと馬鹿にされたでじが、鈴奈の時は素晴らしいと賞賛し、あげくでじ子が盗作したとかいってるでじ。全くクソみたいな人ばかりでじ。
噂が広まって、でじ子の作品さっぱり売れなくなったでじ。
そして今日、シートの上に、お金が無くなって、木で作った剣や棍棒、盾等十点ほど置いて、誰も来ないだろうと半ば諦めていたでじが、悪い意味で人がきたでじ。
「おうおう、まだやってたのかよ、こんなしょぼい武器誰が買うかよ」
「親分、木ですよ木、誰を倒すっていうんですかね」
「落ちるとこまで落ちたな。もういい加減辞めちまえよ」
時々来て絡んでくるヤンキー三人組がきたでじ。
この三人組は、買わないくせに長時間暴言を吐くしょうもない奴らでじ。
勿論でじ子の心に全く響かないでじが、いい加減うんざりしてきたでじ。
「でじ子に構わず、どっかに行くでじ」
虫を払うが如く、しっしっと手を払ったんでじが、それが気にくわなかったんでじか、こめかみに青筋を立て。
「「「舐めやがって」」」
でじ子の商品を蹴ろうとしたでじ。
「やめてでじ」
例え木でも、でじ子が端正込めて作った作品でじ。
でじ子は商品を守ろうと、三人組が蹴ろうとしたところの間はいる体を丸め頭に手を置き、ぎゅっと目をつぶったでじ。
数秒たって痛みがこず、おそるおそる、目を開けると、三人組が倒れていて、顔を上げると男女二人組の人が立っていたでじ。
これが・・・・・・との最初の出会いでじ。
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