クラス替え試験01~開幕~


 クラス替え試験は全学科あり、中でも戦闘科のは花形だ。


 戦闘科のクラス替え試験は一週間行われ、終わった後一日休みがある。最もクラス替え試験期間中は授業がなく、関係のない生徒や出番が終わった生徒は観覧するもよし、ダンジョンにいくのもよし、自習するのもよし、出店を回るのもよしと、自由時間だ。最も、クラス替え試験に出場を控える生徒は、大半は練習にあてているが。


 そして、試験の日程は、


一日目 午前:0クラス昇格試験、午後:Hクラス昇格試験

二日目 午前:Gクラス昇格試験、午後:Fクラス昇格試験

三日目 午前:一年Eクラス昇格試験午後:二年Eクラス昇格試験

四日目 午前:一年Dクラス昇格試験、午後:二年Dクラス昇格試験

五日目 午前:一年Cクラス昇格試験、午後:二年Cクラス昇格試験

六日目 午前:一年Bクラス昇格試験、午後二年Bクラス昇格試験

七日目 午前:一年Aクラス昇格試験、午後二年Aクラス昇格試験、夜:三年Aクラス昇格試験

が行われる。


 戦闘科の試験会場は学園に一つだけある、二万人は収容できる大型の闘技場で行われ、外部の人もこれるようになっている。


 日を追うごとに盛り上がりを見せ、最終日のチケットはプレミアで、裏で高額で取引されている。


 逆に一日目の午後、二日目や三日目あたりは人気がなく、客も半分入ればいい方だ。


 しかし一日目の午前、つまり0クラス昇格試験は、一部のものに人気があり八割方埋まるが、この日は満員で、注目の高さが伺える。


 その理由は三つある。


 一つ目は、いつもの目的で


 二つ目は、奇跡の一日の一人を見るため。


 三つ目は・・・・・・。


 そして、今御影達は控え室にいて出番を待っていた。


 昇格試験の順番を書いた紙も御影が既に提出していて、諦めの表情をしていた0クラスの面々達とは対照的に御影達の士気は高かった。


 御影は密かに心配していた。


 異世界で、闇闘技場で一月試合させられた事があった。


 そこで絶対に思ってはいけないことを学んだ。


 今はいいが・・・・・・。


 表情をみる限り、今はまだ大丈夫だが、始まって見ないと分からない。


 今言ってもいいが、大して効果はないと御影は思っているし、こればかりは見ずからが経験し、乗り越え克服するものだと思っている。


 最も御影の取り越し苦労かもしれないが。


 扉から三回ノックされ。


「そろそろお時間です。闘技場までお越しください」


 係りの者が呼びにきて。


「いくぞ皆。相手にどぎぼを見せてやろうぜ」


「任せたまえ。元よりそのつもりなのだよ」


「ぷ、や(プゥもやってやるよ~)」


「へっへっへっ、おれっちの実力見せてやるぜぇー」


「勝つぞ」


「「「おー」」」


 御影の掛け声と共に、控え室を出た。


 廊下は一本道で、数分で闘技場内部に入った。


 周りは円形に囲まれ、満員の人々は熱気に包まれていた。


 下は弾力のある土で、闘技場の中心に石でできた四角いリングがあった。


 どうやら出場するHクラスの人達はまだいなく、先に呼ばれたようだ。


「さぁさぁやってまいりました。0クラスの入場です。実況は私、新聞クラブ『暁』に所属する解除科一年C組白波今日子がおおくりします。今宵も0クラスの血の雨で会場に満たされるのでしょうか。いやいやいやいやぁ、今回の0クラスは一味違います。あの最終試験を突破した御影友道を筆頭にあの癒杉舞先生が顧問となり、一年Sクラスのカティナさんも所属するクラブにいる生徒が何人かいますので期待できるんじゃないのでしょうか。続きまして、お待ちかねのHクラスの入場です!」


 観客席正面の中ほどに実況席があり、今日も快調なマシンガントークで活き活きとした表情で今日子はマイクを持って臨場感溢れる声で叫ぶ。


 一部の熱狂的な人達が御影達にやじをおくり、Hクラスの生徒達に声援を送る。


 入場してきたHクラスの面々は見るからに柄が悪そうな連中で下劣な視線で御影達を見て、まるで英雄気取りで声援に応える。


「おおっと、早くも勝ちを確信しているかのような振る舞いです。私どものデータでは、五月以降のHクラスの勝率は九割を越えています。勝って当然、悪役の様な表情でどうやっていたぶっているのか考えているのでしょうか。とにもかくにももうすぐ最初の試合が始まります」


 やはりか


 御影の当たってほしくなかった予感は的中した。


 観客の歓声で、プゥと種次は既に呑まれていて、Hクラスの人達が入ってきたとき、目に恐怖の色があり、体がこわばっていた。


 自分は相手より勝っている。圧倒的に実力は自分の方が上だ。そう頭では分かっていても、心が思う。


 本当にそうなのだろうかと。五月に試合をした人達と同じように、自分も酷い状態になるのではないのだろうかと。一度そう思ったら、負けるイメージばかりが頭に浮かび勝てるものも勝てなくなる。


 そういう人間を御影は何人と見てきた。


 そして、大半は負けている。


 だから御影は、初戦はあいつにした。


「へっへっへっ、おれっち行ってくるぜぇ~」


 この状況下でも普段と変わりない、実力は種次とプゥには数段劣るが、図太さと調子良さは一級品だと御影が評価する三下がリングにあがる。


 相手は、二メートルほどの強面のスキンヘッド、刃がついてない斧をもち、舌なめずりをしながら舐めきった態度で同じくリングにあがった。


 Hクラスよりの審判が間に立った。


「第一試合、0クラス:柊三下対Hクラス:ボワの試合を始める。コインが落ちたら開始の合図とする。両者異論はないな」


 二人が頷くのを確認し、そして、審判が指で弾き、高々と投げたコインが宙に舞い・・・・・・落ちた。

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