第1話 ライバルと書いて戦友

今日も平凡な一日が終わろうとしていた。先生の他愛ない短い話が終わると皆は帰ったり、部活に行ったりと様々だった。そんな俺、道明寺晴翔は今日もうたた寝をしながらレベルの低い授業の時間を過ごしていた。

「はるくん、ごめーん。先生の話長くておそくなっちゃった。ってまた寝てるし。」

教室は静かで机に突っ伏して寝ているはるくんしかいなかった。僕のことを待つのは退屈だったろうなって考えるとそれでも待ってくれたことにちょっと嬉しかったりもする。

「はるくん起きて!帰るよー!」

声をかけてみるがなかなか起きない。ここまでぐっすり寝てると起こすのもなんか悪いなって思ってしまい近くの席腰をかけて起きるのを待ってみる。

また遅くまでゲームしてたんだろうな。僕とはるくんはゲーム部に所属しているだけあって夜も一緒に通話しながらゲームをやっている僕が先に寝てもはるくんは朝方までやってことが多々ある。だからっていうのもあり授業中は良く寝てる。まぁ本人曰くあんな低レベルの授業受ける価値もないだとか。

そういえば中学の頃からこんな風だった気がするなと思い出した。僕とはるくんの出会いは中学校だった。


その日は大雨だった。俺は同じゲーム好きの奴らとゲームをし始めた頃だった。当時は俺は仲間とすることで新たなる強さを得られる。そう確信していた。だから自分から他人の世界に飛び込んだ。だが結論から言うに俺とは合わなかった。俺は本気で強さを模索しているがあいつらはゲームをただの娯楽として遊んでいる。そんなことを知り呆れていたそんなときだった。

「道明寺くんだっけ?傘ないの?」

この他愛のない一言が風見涼との初めての出会いだった。


それから僕たちは放課後家に集まりゲームをした。最初ははるくんの得意分野のゲームで負けまくりで呆れてたけど、僕の得意な格闘ゲーム、格ゲーで圧勝をしてから僕たちは互いに強さの高みを目指していくことで、ライバルであり親友だった。

僕たちは昼休み屋上に集まりゲームをしていた、これが毎日の日課であった。授業中には絶対見せないような焦った姿や勝ち誇った姿などの表情を見せてくれて本当に楽しいんだなってすごく思えた。


だから時々思う、こんな人と出会えたことが幸せだなって。


「う~ん、涼か?」

「あ、やっと起きた。遅いよはるくん」

「そんなこと言うなら起こせばよかったじゃないか?」

「イヤーなんか起こしちゃまずいかなーって。」

「まぁいい、帰るぞ涼」

「そうだね、帰ろっか」


まだ眠そうな足取りをしていたから僕ははるくんに手を貸してあげながら教室を出た。

外は梅雨だからか雨だった。とゆうか僕傘持ってないよ。そんなこと思っていると、はるくんが傘を差し出してきた。

「忘れたんだろ。ほら、濡れるから入れ。」

僕はしぶしぶ入っていく。この光景中学の時初めてはるくんにあった時と逆の立場だ。と思っていた。


「フンッ、これじゃ初めて涼と会ったときと逆の立場だな」

「それ今僕も思ってた」


こんな風にこれからも続いていくと確信はないが僕は思った。だって僕とはるくんは。


(ライバルであり戦友だから)

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