(四)‐4(終)

 後日、県警に逮捕された美術館強盗は、強盗と傷害、それに銃刀法違反で書類送検された。

 さらにその後、署の捜査一係宛に一通の封書が届いた。封書には差出人などは書かれていなかった。鉢山が開封するとA4用紙一枚が入っていた。紙には「お礼状」と題名が書いてあった。

 手紙の本文は短かった。その内容は次の通りだった。


  鉢山さん、上原さんへ

  先日の時田倉庫ではお世話になりました。

  おかげさまで無事パンクディーの絵を手に入れることができました。

  それから私がいつのまにか『怪盗広尾』と呼ばれていることを初めて知り、驚いてしまいました。

  ではまたいずれ、どこかで。

   『快』盗広尾より


 鉢山は捜査課の自分のデスクで手紙を読み終えると、それを右手で握り潰し、床にたたきつけた。そしてデスクの上の電話から受話器を乱暴に掴み取り、県警に架電した。


(了)

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犯行の礼状【快盗広尾シリーズ】 【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名 @HarunaTsukushi

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