(三)‐4
「これは……、赤星か」
鉢山がそう言うと、「小さいので、そうみたいですね」と上原が答えた。
「赤星、ってなんですか?」
神が聞いてきた。
「ロシア製のマカロフっていう拳銃のことです。暴力団組員の間では赤星と呼ばれています」
鉢山が男性に返した。
すると背後から「ここか」という低く良く響く声が聞こえた。
鉢山たちが後ろを振り返るとガタイのいい男性が、懐中電灯をもってコンテナの中に入ってきた。
「あんたたちはここで何をやっている」
身長が一八〇センチ前後はあるその男がそう言いながら鉢山たちの顔に懐中電灯の光を当てた。
「臨港署の捜査課の者だ」
鉢山がそう言って背広のポケットから警察手帳を少し出して見せた。
ガタイのいい男が懐中電灯の光を警察手帳に当てた。
「署轄の方でしたか。失礼。自分は県警捜査三課の大橋です。こっちは同じく東山です」
大橋の大きな体の背後から、小柄な男性が顔を出し「東山です」と挨拶をした。高い声の男性だった。
「私は臨港署の鉢山。隣のいるのが私の部下の上原。こちらは時田倉庫の神さんです。あと、もう一人、新人の……」
「須賀、です」
上原がフォローを入れてくれた。
「そう、須賀です。今日配属になったんですが……」
須賀の姿が見えなかった。鉢山と上原は大柄な大橋の背後を覗き込んだが、コンテナの出入り口付近にもいなかった。
(続く)
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