(三)‐3

「他の箱はどうだ」

 鉢山が言うと、上原が絵をコンテナの壁に立てかけて置こうとした。

 上原の背後から「持ちます」と言いながら須賀が絵を受け取った。

 上原は「頼む」と言って絵を須賀に委ね、段ボール箱を開けた。

 男性が懐中電灯で箱の中を照らすと、中には油紙に包まれた何かが二つと小箱が入っていた。

 上原は続けてこの小箱を開けた。中には金色に光る円錐状の物が、円錐のとんがりを上にして並べられて詰められていた。

「それは……もしかして……」

 神が言った。

「ああ……、恐らくあなたが今想像している物でしょうね、これは」

 鉢山がそう返した。

 そして上原は、今度は油紙の包みをはがし始めた

 神が上原の手元に懐中電灯の光を移した。

 油紙の中身は拳銃だった。黒色の小型自動式の拳銃だった。


(続く)

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