い な か ぶ!!

佐藤智

いなかぶの日常

 田舎と聞いてまず思いつくのはなんだろう?

 綺麗な自然?静かな夜?君〇名は?

 そんなことを思ってる人は都会生まれの都会育ちで田舎とは無縁の生活を送ってきたのだろう。

 そんな甘っちょろい方々に言ってやりたい、そんなに田舎は甘くないと。

 綺麗な自然?手入れされていない空き地の間違いでしょう?

 静かな夜?貴方の家に爆音でカエルの鳴き声一晩中流してあげましょうか?

 君の名は?夢見るのも大概にして欲しいですよホント。

 過疎を過疎で固めたようなそんな地域に住めば都会の有り難みがわかることだろう。

 都会の有り難みを知らないもの達へ、もう一度言おう。

「そんなに田舎は甘くねぇーー!!」

「さっきからぶつくさうるせーんだよ」

 僕の頭に鉄拳が飛んでくる。

「なんだよさっきからぶつくさ言いやがって呪文でも唱えてんの?なんか召喚すんの?魔王と戦っちゃうの?」

 黒髪ロング綺麗な見た目からは考えられない威力で僕を殴ったのはこの部の部長である下條花先輩。

 さっきの話から察するに異世界系ラノベを読んでいる時に邪魔されたことに大層ご立腹のようだ。

「いやこれは読者の方々に本当の田舎について知ってもらおうとですね」

「読者って誰だよ!てかこれの続きの巻どこだよ!」

 最後とかもう関係ないでしょと言うツッコミを入れようとすると。

「先輩たちうるさいですよ!。夫婦喧嘩は犬も食わねえですよ!」

 という声とともに後ろから罵声が飛んできた。

 その小さくかわいい見た目からは考えられない罵声を飛ばしてきたツインテ少女は機嫌悪そうに起き上がった。

「ほら部長のせいでリンちゃん起きちゃったじゃないですか。」

 今も機嫌悪そうにこちらを睨みつけてくるのが中学一年の箕輪鈴ちゃん。とりあえず口が悪い。

「うるさい!そんなことより部長命令だ、さっさと次の巻持って来んかい!」

「だから部長うるさいですよ一回黙るです!」

「こんな感じのうるさい田舎の日常を皆さんにお届けしたいと思います」

「ぶつくさうるさいって言ってるだろうが正宗」

 今度は首にチョップが飛んできた。

 首をトンってやられると意識飛ぶらしいからそりゃドン!!ってやられたら間違えなく意識飛ぶよね。

 気絶しそうだけど大切なことだから言っておきます僕の名前は須坂正宗で、、す。

 田舎の女の人は大体男勝りなので気をつけて……。

 そんな事を思いながら僕の意識は遥か彼方は飛んでいった。


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