(三)

 翌朝、私はあなたの家に来た。玄関まで来た。そして合い鍵で鍵を開けてドアを開けたわ。

 玄関にはあなたの靴があった。そしてその隣に黒のヒールの靴が並べてあった。

 お義母さんがいらっしゃっているのかしらと思って、玄関を上がった。そしてキッチンのついた廊下を進み、突き当たりの部屋のドアを開けた。

 1Kの部屋だから、そのドアが開ければもうあなたのベッドルームだった。そしてあなたは、自分のベッドにいた。……裸で。

 裸のあなたは誰かに覆い被さっていた。下にはベッドで足を広げてあなたのものを受け入れている誰かがいた。それを見て玄関の黒いハイヒールは、あなたのお義母さんのものではないということがわかったわ。

 あなたは腰を振っていた。無我夢中で。ずいぶん情熱的だったわね。まさか私ではなく私以外の他の女に愛の行為をしているあなたの背中を、鏡越しなどではなく肉眼で見ることになるとは、私は全く思わなかったわ。


(続く)

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