第18話 計画的な侵攻

開始の合図と共に莇さんは灰塵に接近し

地面にあった木の葉を撒き散らし灰塵の目をくらませる

灰塵が怯んだ間に莇さんは灰塵の背後を取る

よし!さすが莇さん!無駄の無い動きだ!


「木の葉の枚数、足の角度、足音の数、風の強さ。それらから導き出される場所は・・・・そこだ!」


灰塵は小声でなにかを言ってから

見事に莇さんの位置を当て莇さんの攻撃を避ける

灰塵はその後膝蹴りを試みるが莇さんが防いでしまう

・・・・莇さんは必ず攻撃を掴んで防ぐ力はある

だが、俺はこの間の戦いでその弱点がわかった

その弱点がバレないようにしないと勝ち目はないぞ

灰塵はバックステップを踏むと拳銃を持って何発か撃つ

莇さんは難なくそれを避けるがその隙に灰塵はまた近づき

ナイフを刺そうとするがそれも掴まれる


「あら、案外弱いのですね。あなた」


「・・・・小手調べは終わりだ。ここから全力でいかせてもらおう」


灰塵はそう言うと掴まれた手をそのまま莇さんの手ごとつかみ

一回転して回転の力で投げ飛ばす

莇さんはなんとか受け身をすると拳銃で対抗する

しかし灰塵は突っ立っているというのに全く当たらないのだ


「・・・・君の弱点は二つある。一つはなんでも攻撃を掴んでしまうこと。そして」


灰塵はそう言ってどんどん近づいていく

莇さんの拳銃は震えているようにも見えた

どうした・・・・?急に顔色が・・・・


「男性恐怖症によって男に掴まれると脳内がパニックになり視力が一時的に無くなってしまうことだ」


灰塵はそう言って莇さんの腹部に軽くナイフを刺してしまう

莇さんが・・・・敗北・・・・?そして男性恐怖症って・・・・

そんな事思ってると莇さんはよろよろと膝をついてしまう


「莇さん!大丈夫!?」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・」


莇さんはブツブツと誰かに謝ってるように見える

莇さんは坂本さんに落ち着かせてもらい

俺は腕のブレスレットを見ると10対1となっていた

・・・・あれ?俺たちが戦ってる間にこんなにも減っていたのか!?

そして・・・・俺たちの仲間は一人だけで相手は十人も生き残っているのか?


「葵蓮一大事だぜ〜まだ一人残ってるってよ〜」


「ふむ、ならば生き残ってる人数で探し当てよう」


するとブレスレットの10対1というのがどんどんどんどん減っていくではないか

10だったのが6に、次に6が2に

まるで四人グループを一気に倒してるみたいに

たった一人で・・・・?


「なんだ?どういう事だ?一気に仲間が減っていってるぞ?」


「どうやらこいつら以外に強え奴がいるみてぇだな」


「そんなにブレスレット見てていいの?」


灰塵と白碧がブレスレットを見てる背後を

急に現れた女の子が灰塵をナイフで一刺し

突然のことに灰塵は体が動かなかった

二つ結びの青い髪をした女の子は俺たちを見てクスっと笑う


「やるじゃねぇか・・・・面白くなってきやがった」


「ごめんね。貴方達の味方倒しちゃった」


「弱い奴なんか気にしねぇよ」


白碧はそう言って俺と戦った時以上の早い動きで攻撃をする

あいつ・・・・まだ上があったのか・・・・!?

しかし女の子はそれを全部避け、白碧の顎に手根部で張り手をする

しかし白碧はビクともせず女の子の腕を掴み

思いっきり近くにあった木に投げる

彼女が軽いせいなのかわからないがかなり吹っ飛んだ

女の子はその場から動かなくなり白碧は近づいていく

やっぱり・・・・あいつ強い・・・・でもなんだろう、彼女が本気出してるようには見えないな


「楽しかったぜ」


「私も楽しかった」


白碧の言葉に女の子が即答してから足払いをする

白碧は見事にすっ転び、女の子は思いっきり上から膝を思いっきり溝に入れる

その時始めて、白碧は痛そうに悶える


「頭に血がのぼるとダメだよ。お兄さん」


女の子は最後にそう言って拳銃で一発撃つ

見事に白碧に当たり、見事勝利した

すごい・・・・もうその一言しか出なかった


「貴方は・・・・一体・・・・」


「それよりもその子の処置が最初。皆戻りましょ」


女の子に流されるがままに俺たちはその場を後にした

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