恋愛先、紹介します！

第96話

「ちくしょう……ちくしょう……っ！」

　叶恵である。

　いきなりどうした？などと言う無粋なことは言わぬが吉。

　何せ、

「あははははははっ！！はっ、ひっ、ふふっ、もう、ダメ……あはははは！」

「完璧だなぁ……」

「どう頑張っても同性に見えねぇ」

「ロリっ子ミニスカ男の娘メイド……」

「もうお前ら嫌いだぁ……！！」

　そう、メイド服である。

　それだけなら前回見たじゃねぇかというお話なのだが……今回なんとミニスカである。

　凄いね、もう。うん。千人が千人女子って答えるね、うん。

　しかもからかわれて涙目。

　これで男子だって言っても冗談きついと笑われて終わるのが目に見えている。

　一学期の雪女さんなぞ話にもならない。

　そーいうレベルである。流石っす。

「……今のやつぶっ殺すっ！！」

　……怖いから。ね、やめよう？そういう物騒なの。

「だ、大丈夫です！」

「何がだよ……」

　突然声を上げた春来聖女、いや、勇者。

　とんでもないことを言い放つ。

「だって、今の叶恵さん」

『『『『『『『ん？』』』』』』』

「とても、可愛いですからっ！！」

「………………ちょっと屋上行ってくる」

「叶恵！？早まらないで！？」

「止めてくれるな和之。俺はもうダメだ」

「なんで！？」

「もうなんか色々限界なんだよ……っ」

　歯を食いしばっている叶恵に一同反省。

　全力で叶恵を食い止めた後、作業再開……とはならず。

「さて、紅葉。今のは何かしら？」

「えっと……なんのことでしょう」

「しらばっくれても遅いよ？全員しっかり聞いてたからね★」

「真っ黒な星が見えたわ……」

「気のせいでしょ。で、どうなの？紅葉ちゃん。ねぇ？バリバリ動きまくってる件のメイドさんとの関係がいつの間にか進んでいたことは確定として、どこまで？」

「色々勘違いですっ！」

「またまた〜」

　女子全員が作業そっちのけで春来を尋問中である。

　叶恵？安心してください、男子をこき使いつつ、着替えることも忘れて作業中です。だからこそ他の奴らもちゃんと作業してます。

「真金！金槌！」

「こちらに」

「良し、お前はそっちの方手伝って来てくれ！」

「かしこまり」

「おい奈倉、写真とんな！」

「やだ！」

「仕事しろ！」

「写真撮る許可くれたらやる！」

「よし殺す！」

「すいませんやります本当にすいません」

　……………うわぁ。

　ゴホンッ。失礼しました。

　青野や和之はしっかり作業。

　ちなみに和之は着てない。

　何でって？

　簡単な話、叶恵を生贄にしただけである。

「いやー、僕が指示出してたはずなんだけどなぁ」

「人のこと犠牲にしてる時点で色々察そうな？アリのように働いて蚊のように潰れろ」

「そこは馬車馬じゃないかな？」

「なんだ？踏みつけられてぇのか？そういうのは樫屋さんに頼め。俺がやってもアホどもが喜んで腐った女子が鼻息荒くするだけだぞ」

「酷すぎない？」

「そんなもんだろ。後、否定しねぇのな」

「断固拒否かな」

「さよけ」

「おい伊吹乃、こっちはこれで良いのか？」

「ん？おう、流石だな…………って、おい。これ、外れるよな？」

「安心しろ。取り外し可能だ」

「引っ掛けてるだけ……だと……？」

　まぁ、こんな感じである。

　さて、再び女子の会話（尋問）に耳を傾けてみよう。

「うう………」

「嘘でしょ……？」

「伊吹乃（あいつ）……やるわね」

「夢乃、そこ感心するとこじゃないわよ」

「いやだって……え？私たちが寝てる時に……え？しかも何？泊まった？家に？は？」

「夢乃？おーい……ダメね。もう手遅れみたい」

「どうするのこの状況？紅葉ちゃんが真っ赤になって三角座りなんだけど」

「………………ぐすっ」

「「「「「「泣き出しちゃった！？」」」」」」

　やり過ぎである。

　純粋無垢な春来聖女様。腹黒お嬢を筆頭に誘導尋問に引っかかる引っかかる。エビ一尾で鯛どころかカジキマグロを釣り上げた。

　要するに全部バレた。

　特にでかいのがキャンプの時のキスの件とお泊まりの時の名前呼びでからかわれた件である。

　普通そんなのある！？というような展開のものであるが実際にあったもんはあったとしか言えないのである。とりあえず叶恵の尋問会も確定したと同時に、叶恵の背筋が謎に凍ったことだけは明記しておく。

　＊

「ふむ、彼はそこまで……ふむ、意外と言えば意外だが……無意識、と言うか無自覚なのが頂けない。これでは安姫が報われん……どうしたものか……それに、平花はいつまで逃げるのか……はぁ……」

　≡≡≡≡≡≡≡

　お久しぶりです！最近更新止まってて本当に申し訳ございません！

　ぱっと思いついてしまった新作を書いたり原神（ゲーム）やりまくったりテストだったりで中々書けるタイミングがなく……いや、書けって話ですねはい。

　さりげなく受験生だったりするので前のような毎日投稿はしばらく無理だと思います。

　二月か、三月か。そのあたりでまた毎日投稿に戻れると思いますので、楽しみにしてくださってる読者様方、もうしばらく卵を頬張って待って頂けると嬉しいです！

　それではまた次回！

　…………叶恵の尋問会、どうなるんだろ？