第55話
「ん、んぅ………んん〜」
さて、現在おやすみ中な叶恵であるが、この危険地帯で無防備。どうなるか。以下。
「えぇーっと?一の五、一の五っと……ここか」
「ここだな」
「ここ掘れワンワン」
「「てめぇは狼だろ」」
「サーセン」
ガラッと扉を開けて三人の男子が入ってくる。当然ながらその場の全員が混乱す──
「おっ、もしかして虎さんと狼さんと象さんっスか?」
──ることも無かったらしく真金が三人にこえをかける。すると、
「おうその通り……ってことは」
「「あなたが神か」」
「フヒヒ」
真金がなんとも不気味な笑いで肯定の意を示す。
驚く三人をさらに驚いた目で見る一の五の面々。なんとも言えない空気である。
「ではでは自己紹介を。俺、二年三組十三番
初っ端から余計なことを口走るのは『二年の狼』こと白狼……どうやって読めと?しかも名前が『竜』……そして本人は特段マッチョという訳でも背が高くてイケメンという訳でもない。名前負け感が前面に出ている悲しい男である。
「おい、いきなり滑るなよ……まあいいや。続いては俺、二年三組十二番
せめて教室で寝て下さい……という訳で二人目、『二年の象』こと象記……なに?ぞうじるし?関係は皆無です。というかこれまた読みづらい……そして最後にやる気を失くすなと言ってやりたくなる。気怠げだが白狼よりは整った顔である。ついでにヒョロヒョロである。モヤシである。象要素はどこへ消えたのだろうか。
「お前は教室で寝てろ……さて、トリはこの俺!二年三組十一番
ようやくまともな読みの人来たと思ったらこれである……
………触れずに行こう。
それよりも特徴的すぎる特徴があるが故に。
その特徴とはなにか。
「ちっさいなー」
「うん、可愛いよね」
「マスコット的な?」
「あ、そんな感じ!」
「………………………」
そう、小さい。
その身長、なんと百三十センチ。ショタである。一部の女子がずっとヨダレ垂らしそうな目をしているのだが全力で目を逸らし続けていたりする。
「いや、俺の事とか、いいから。なぁ、ひとついいか?」
若干虚ろな目をした虎徹の質問。微妙な空気感にとりあえず頷く一同である。
それに満足そうに頷いて返してみせる虎徹であるが、小学生が親からおやついる?と聞かれた時のような顔である。しかし、
「うん、じゃあ早速───伊吹乃 叶恵って、どいつ?」
そんな笑顔は下卑たものへと変貌し、指名したのがよりにもよって叶恵。結果、
「え、もしかして……そっちの……」
「先輩、それはちょっと……」
「それはそれで……ふへへへ………」
若干名が腐り切った目で見てくるものの無視である。
「そっちの気はねぇからな?気持ち悪いし」
「そうだよな。お前はおねショt「黙れカゲ、死ぬか?」勘弁です」
「「「「「「じゅるり」」」」」」
一部女子達の舌舐めずり!虎徹は恐怖で動けなくなった!SAN値チェック!1d10でどうぞ!
「なんか聞こえたんだが!?」
「虎さん諦めてこれ振りましょうぜうへへ」
真金が気持ち悪い笑い方とともに取り出すのは10面ダイス。
「なんでそんなもん持ってんだよ!」
虎徹のツッコミが冴え渡る。しかし。
「そりゃまぁ……学校で
「何それ!?」
「読んで字のごとく、TRPGのシナリオをリアルでやっちまおうぜと言う企画で生徒会に話を通そうと現在奮闘中っス」
「すみません先輩、こいつ頭おかしいんで」
「サーセン」
げんなりとする虎徹。反対に、象記と白狼は目を輝かせる。
「いいじゃん!俺らそういうの好きだぞ!」
「そうそう!一回俺らも校内でリアル人狼やろうって言いに行ってるから!」
類は友を呼ぶ。真金とこの二人は混ぜるな危険だったらしい。
どんどん話が逸れる中、それでも叶恵は寝続けていた。
「んぅ……せぇなぁ………んぅ……る…た………」
その後、馬鹿極まりないと思われた企画は通ることになるのだがそれはまたいつか……
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