異世界サイコパス転生〜魔物も冒険者も英雄も勇者も魔王もとりあえず罠にかける〜
白黒 なまこ
第一話 異世界サイコパス転生
俺の名前は、
大学二年生だ。
突然だけど、今日、俺は死んだ。
刺し殺されたのだ。
昔から、人をからかったり、騙したり、罠にかけたりするのが好きだった。
相手の憤慨する顔、苦悶に満ちた表情、泣きわめく姿をみると心踊るのだ。
そんな俺はサイコパスと言われ、親にすら見放されていた。
「お前よりアレクサ(AI)の方がよっぽど人間らしい。このサイコ野郎」
そんな俺は今日、最新作の超ド級罠を完成させる寸前だったのだが、やらかした。
夢中になりすぎて、背後から刺し殺されたのだ。
俺を殺したのは、昔いじめてやったガキ大将だった。
長生きしたかった訳でもないが、下らねー死に方だと思う。
そう思っていた矢先だった。
驚くべきことに、死んだはずの俺は別の世界にいるのだ。
どこまでも続く大地に生い茂る木々。
都会ではあまり見ることのない雲一つない、真っ青な空。
この現象を俺は知ってる。
異世界転生というやつだ、ラノベや流行りのアニメで死ぬほど見た。
えーっとなんだったかな。
「ステータスオープン」
俺の言葉で安っぽいゲームのようなウィンドウが表示された。
これで自分のスキルやらなんやらが見れるはずだ。
□ーーーーーーーー
職業:
スキル
『物理罠制作・設置』
『魔法罠制作・設置』
『罠感知』
『罠無効』
『熟練罠師の妙技』
敵が罠にかかる確率が上昇する。
『隷属の首輪』
屈服させた生物を下僕にできる
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勇者でも、英雄でも、魔王でも、チートでもない。
大学生という肩書きが剥がされただけで、できることが前の世界とあんまり変わってねーな。
…………いや、むしろ好都合か。
元の世界では、法律があった。
それを犯せば罪をつぐなうことになり、社会的弱者とされる。
俺の作る罠も、そのギリギリ、瀬戸際を攻めていた。
だけど、この世界は違う。
異世界転生なんてのは、強さがルールのはずだ。
冒険者やら勇者やら、当たり前のように生き物を間引き、悪人を斬り殺す、そんな世界。
俺にとっては無秩序で最高のゲーム。
それならやることは決まっている。
むしろ俺にとってこの世界が本当に生きるべき場所だったのかもしれない。
勇者でも、英雄でも、貴族でも、魔王でも、チートでもない。
役割がない方が気軽にやれる。
今この瞬間、俺の嗜虐心を満たすためだけの、トラップスローライフが始まった。
後に、最凶最悪の存在と呼ばれる者が、産声を上げた瞬間である。
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