雨のち晴れ

@watagasi11084

プロローグ 誕生

――その日は雲一つない晴天だった――――

とある病院の一室で1つの命が産まれようとしていた。


「頑張れ!雫!もう少しだ!」


痛みに耐えている妻の手を握り、声をかけ続ける夫の姿がそこにはあった。


「もうすこしですから頑張ってください!!」


病院の先生と看護師に囲まれながらその瞬間はやってきた。


高らかな声と共にその命は生まれた。


「元気な男の子ですよ、どうぞ」


その目は母親と同じとても青く澄んだ目をしており、まっすぐにこちらを見て話しかけてきているようだった。

そんな子に母は話しかける。

 

「生まれてきてくれてありがとう…

あなたの名前はね、お父さんと一緒に考えてあるのよ」


「時雨...お前の名前は天々谷時雨だ」


まるで名前が気にいったかのように小さな子は微笑みかけてくる。


「おい見たか!!今笑ったぞ!」

「ふふっ気に入ってくれてよかったわ」


幸せを絵に描いたような空間がそこにはあった。


「これからよろしくね!時雨!」




――外は雨が降りしきっていた――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る